![]()
リノベーションに限らず、事業展開する上で参入障壁が高いかどうかは大きな観点の一つと語り継がれています。今回は特に地方エリアを中心に市場規模があり、参入障壁も高いと言える古民家・築古戸建てリノベーションについて取り上げます。
※「古民家」の明確な定義はありませんが、本稿では1970年以前の建物のデータなどを用いながら解説します
市場ニーズ、関心度はじわじわ拡大傾向
まずは市場のニーズ、関心から見ていきましょう。「古民家」の検索ボリュームは月間で約4万件と、年々拡大傾向です。日本経済新聞にも度々取り上げられている通り、カフェ、レストランや宿泊関連が引き上げているのも要因ですが、古民家リノベーションや古民家リフォームも一定の検索ボリュームが確認できています。
とは言え、地域差が大きいテーマでもあります。国土交通省のデータで築年数別の棟数や比率を確認できますが、1970年以前の建物の比率を見ると、例えば島根県では全体の20%と高い水準ですが、北海道、特に札幌市は2%台となっています。
当然ながら、自社を取り巻く商圏特性を見極め、市場ニーズがあることが大前提となります。
競合状況は限られている
住友不動産の「新築そっくりさん」事業も、古民家再生に関するページを設けていますが、見学会の築年数からすると、全体的には30年から40年台までが主対象という印象です。
全国展開の会社の中では特に住友林業が古民家再生に注力しており、古民家リノベーション、古民家リフォームから自社サイトへの流入が確認できています。自社サイトでは古民家再生の施工事例から独自の補強システムに至るまでコンテンツが充実しており、自社のショールームでも古民家再生に関連したサンプルを展示し、力を入れている様子が伺えます。
一方で地域の工務店、リノベーション会社においては、一部先行事例があるものの、まだまだ限られている様相です。古民家を再生したモデルハウスの開設例が各地に少しずつ広がりつつありますが、私が把握する限り、まだ全国で10数例ほどと限られているのが現状です。
古民家、築古戸建リノベーションの取り組み例
古民家、築古戸建てリノベーションに対応できる知識、経験があることを前提に自社としてはどのような打ち出しが有効か見ていきましょう。
・やはり施工事例が基本で自社の古民家や築古戸建て住宅のリノベーション事例を自社サイト上で視認性を高めることをおすすめします
・地域の古民家の特徴の解説、築古戸建てに対する耐震や制震、在来工法との診断の違い等関連コンテンツを盛り込んだページを開設することも有効です
・集客手法に関しては言うまでもなく、古民家や築古戸建てリノベーションの事例で見学会を開催することが最も手堅い手法です(一部例外の地域もありますが、築年数が古いほど反響が良い傾向があります)
・自社の施工事例やモデルハウスのYouTube動画を発信する(施工前の状態からプロセスを一つ一つ投稿することがポイントの一つです)
・Instagramやコラムなど、日々の発信も古民家または築古戸建てにちなんだ内容に集中させることで効果につながりやすくなります
・知識を補う必要があるなら、古民家再生を追求する業界団体に加入することも一つでしょう。法改正をはじめ様々なテーマで行政と連携しながら活動する団体もあります
先行し実績を重ねる工務店からは、古き良き日本の原風景を守りたい、伝統文化を残したいという想いがエネルギーの源泉になっていることも付け加えておきます。

SNSの発信を古民家や伝統建築に絞り、効果が出ている一例
確認申請については、築100年級の古民家リノベの確認申請を複数抱えているクライアントの例もありますが、行政側の理解度にも左右されやすい領域です。
そのような中、2階を減築し平屋にするリノベーション、あるいは主要構造部過半以下のリノベーションなど、確認不要リノベを視野に入れて展開する例もあります。
古民家に対する外国人の評価の高まり
古民家に関しては外国人による移住ニーズとの関連性が高く、高額リノベーションの依頼につながることもあります。過去に東北に移住し古民家リノベーションしたアメリカ人に直接インタビューしたことがありますが、このような回答がありました。
「日本の文化、伝統が詰まった家に惹かれた」
「アメリカでは古い家もリフォームやリノベーションをする。日本人の住宅観とは違う部分もあるかもしれないが、古民家は(劣化が激しすぎる建物は除き)住み継ぐという考え方に重なるものを感じた」
「伝統に囲まれながら暮らせることは子どもたちにとってためになると思っている」
このように、日本文化への魅了と為替の影響による割安感が購買意欲を高めているようです。
もちろん、古民家・築古戸建て住宅に対して、やみくもにリノベーションで対応しようというつもりはありません。建物の状況など、さまざまな観点からすれば建て替えたり、解体して別のかたちで利活用したりするほうが賢明な判断ということもあるでしょう。
ぜひ自社なりの判断基準を持ちながら、市場ニーズ、競合状況、自社の強みという視点で、古民家・築古戸建てリノベーションの可能性を探っていただきたいと思います。

過去の連載記事一覧はこちら
■関連記事
【工務店リノベ】高まる平屋ニーズをリノベーション事業に応用
【古民家リノベ】地域貢献への思いとリノベ事業をリンク――なんば建築工房
【戸建てリノベ】ライフサイクルに適した販促を実践しているか
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。




























