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毎日、目に飛び込んでくる数々のイベントの告知。広域を対象とした大規模なイベントから、地域限定の小規模イベントにいたるまで、さまざまな業界で多くのイベントが開催されています。ご存知のとおり、イベント企画は昨日今日に始まったものではなく、きわめて古典的な手法です。しかし、好不況にかかわらずイベントという手法がなくならないのは、大なり小なりイベントならではの効果があるからに他なりません。今回はリノベーションという領域で、どのようにイベントを位置づけたらよいのか見ていきたいと思います。
既存の販促企画+イベント
特に販促企画を打たなくてもリノベ案件が続々と生まれる会社もありますが、それはレアケースで「相談会を開催しても集客が足りない」「完成見学会の反響が鈍くなってきた」そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
競合状況の変化をはじめ、理由は様々考えられますが「『今すぐ客』が減少している(そもそも限られている、または難易度が高まってきている)」という外部環境も要因の一つではないかと思います。基本的に相談会は質が高く即効性を見込んだ企画ですし、見学会も相談会ほどでないにしても、「今すぐ客」の来場を期待した手法と言えます。
そこで改めて見直されつつあるのが「イベント(イベント性)」です。工務店においても相談会、見学会、あるいはセミナーなどを継続しながら、イベントならではの特性を組み込んで善循環を築く事例も出てきています。
プレシニア世代とイベントの組み合わせ
大手ハウスメーカー系の特設イベントに足を運ぶと、まず気づかされるのが50代、60代の来場客の多さです。リノベーションのイベントはもちろん、新築のイベントでも休日開催でありながら、見渡す限り9割以上が50~60代でにぎわっている光景を目の当たりにします。
これは、従来から50~60代をターゲットとしていたことに加えて、一次取得者層の需要が減退する中、プレシニア層の集客が顕著になっていると実感します。人口動態やマス広告との相性も含め「対象とする年齢・所得層」「広告媒体(アナログ、デジタル)」「販促企画」がうまくかみ合っている印象です。
もちろん業態や企画内容にもよりますが、ボリュームゾーンであるプレシニア世代の集客、特にイベントとの組み合わせにはまだまだ可能性があるのかもしれない、と考えさせられます。
来場に至るまでの整合性
当然ながら来場に至るまでの組み合わせは大きなポイントです。
単に媒体の良し悪しではなく、打ち手ありきでもなく、ターゲットとテーマ選定、さらに「広告媒体(アナログ、デジタル)⇒自社サイト⇒販促手法⇒会場」が最適かどうか、つながりが良いかどうか見極めることが大切です。
デジタル媒体に関して、Meta広告は潜在層へのアプローチが得意で、検索広告は顕在層が得意と言われています。また、クリエイティブの質はもちろん、地域で自社がどのように認知されているのかも結果に影響を与えます。例えば、水まわり主体の会社が行う、リノベーションに絞った販促企画や、逆にリノベーションの実績が豊富な会社によるリフォームイベントは表面的、部分的になることもあり、要注意です。
さらに会場については自社店舗での開催、公共施設、または商業施設などのレンタルスペースでの開催など、多岐にわたります。会場自体に売り込み臭があるのかないのか、商業施設が会場なら顧客属性が合うのかどうかという観点もあります。これらを押さえた上で接客の仕組みづくりという段階へと進みます。

対象、広告媒体、自社サイト、販促企画、会場のイメージ。検証しながら自社にとって最適な組み合わせを追求しよう
規模の大小ではないイベントの意義
最近、立ち寄ったイベントの一つに「おうちの快適展」(断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース主催)があります。配布物や展示物から「誰に」の部分は「50代からの」、「何を」については「断熱・省エネリフォーム」になっており、さらに関連サイトには以下の記載があります(一部抜粋)。
「今回のイベントは、リフォームや断熱のニーズがまだ顕在化していない戸建て所有者やファミリー層に対し、断熱リフォームへの気づきと必要性の理解を促すことを目的としている」
このように「誰に」「何を」を設定した上で「どのように」にあたる部分をハードルが低い「イベント開催」にして、潜在客にアプローチしようとする試みは示唆が含まれていると思います。
「大手だからできる」「イベントを開催するためのマンパワーがない」「小さな規模のイベントは開催しても成果につながらないのでは」といった声もあるかもしれませんが、私のクライアント先で、外部施設の小スペース(16坪)を借りて、2日間にわたり性能向上関連の小サンプルやパネルを設置したイベントを、年間を通じて複数回にわたり継続開催している例があります。
スタッフが限られるため展示物を簡単なものにとどめ、会場の設営労力を極力減らす取り組みです。入口の敷居が低い分、すぐに現場調査とはなりにくいですが、1開催あたり10~15組の新規来場があり、そのうち3割以上(リノベ有効案件)が施主宅見学会やセミナーへのリピート来場につながっており、1歩目のアクションのための不可欠な販促企画として定着しています。
特に地方エリアでは、高単価狙いであればあるほどリノベーションという領域はニッチ市場と言えます。集客企画の反響が少ないのなら、それは「今すぐリノベーションを依頼したい」という、いわゆる顕在客が限られており、潜在客の掘り起こしにこそ伸びしろがあるかもしれません。
潜在客のアプローチにおいては様々なとらえ方がありますが、ターゲットから始まる一連のつながりの中で「イベント(イベント性)」も構成要素の一つだと考えています。自社ならではの個別解を見つけ出すヒントになれば幸いです。

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