「新築氷河期」という言葉が語られるほど、工務店経営はかつてない転換点を迎えている。ブランド力を誇る大手ハウスメーカーに加え、圧倒的な性能を標準化する“高性能大手”や、経済的合理性を徹底するパワービルダー勢が台頭する中、地域工務店は居場所の空洞化という構造的な課題に直面している。この閉塞感を打破し、2026年以降も勝ち残るための「生存戦略」はどこにあるのか。独自戦略を実践する3人の現役プレーヤーに語っていただいた。【進行:事業課 轟晃爾】
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森 秀樹さん 森大建地産代表。1970年創業の同社を二代目として継承。「故郷になる家づくり」を掲げ、高性能住宅とパッシブデザインを追求する。「第2回みえの木建築コンクール」優秀賞受賞。住宅営業歴10年以上、契約率65%を誇る。2026年より「工務店のためのAI実践トレーニング」メイン講師を務めるなど、AI導入支援も展開 |
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石田 伸一さん 林業建築家。石田伸一建築事務所代表。新潟を拠点にスタッフ5人で年間約45棟の住宅設計を手がける。2020年に林業・製材会社、24年に施工集団を設立。素材の川上から川下まで自ら整え、地域材や職人の価値を物語化する独自スタイルを確立。素材と手仕事による地域・景観価値の創出に注力する |
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小松 昭さん 2017年サンプロ(長野県)入社。広告代理店での経験を生かし、年間施工200棟超の同社で新規事業や組織開発、ブランディングを牽引。関連会社LOCASでは全国の住宅会社のブランディングを手がける。2026年には「圧倒的集客の正体 サンプロ流“選ばれる工務店”の作り方」のメイン講師を務める |
市場環境
性能競争の終焉と「三極化」の包囲網
―「新築氷河期」ともいわれる厳しい市況の中、地域工務店が勝ち抜くための生存戦略について、3人の経営者にお話を伺います。まずは2025年を振り返り、現在の市場環境をどう分析されているか、それぞれの視点をお聞かせください。
森:全国的なトレンドとして、もはや「性能による差別化」は限界に来ています。かつては地域工務店の強力な武器だった高断熱・高気密や耐震性能も、今や大手ハウスメーカーや急成長しているパワービルダーが、標準仕様として当たり前に高い水準を提示しています。
断熱であれば等級6や7、構造であれば耐震等級3といった、かつては一部のこだわり工務店しか到達していなかった領域を、一条工務店などの強者は「標準」として提供し、パワービルダーもそれに準ずる水準を、納得感のある価格で提示しています。
これにSNSによる「情報の透明化」が拍車をかけ、「この性能数値をクリアしていなければ家ではない」という空気が市場を支配しました。その結果、これまで工務店が磨いてきた基本性能数値の優位性はほぼ消失してしまった印象です。
現在、注文住宅市場は①一条工務店、②大手ハウスメーカー、③パワービルダーという「三極化」が鮮明です。ここで直視すべきは、これら三極の強者と我々地域工務店の間にある「構造的な収益力の格差」です。
年100棟を超える強者は規模の経済で営業利益率10%超を叩き出しますが、対して100棟未満の工務店は、どんなに現場で努力しても7〜8%が限界です。この数パーセントの収益力の差が、広告や人材へ再投資できる「企業体力の差」となり、地域工務店を構造的に苦しめています。
最も深刻な打撃を受けているのが特徴のない中価格帯の工務店です。彼らが主戦場にしてきた中間層が、価格高騰や強者の攻勢によって、上位の大手・一条工務店へ移行するか、下位のパワービルダー層へ流れるかという形で、市場の真ん中から一気に脱落してしまいました。
強者が性能と価格の基準を塗り替えた結果、中価格帯という居場所そのものが空洞化したのです。独自の強みを打ち出せないまま、この消滅しつつある領域に居座り続けることは、経営上のリスクになっています。
小松:森さんがおっしゃる通り、中途半端な会社には極めて厳しい時代です。日本には新築を手がける会社がまだ2万社ありますが、はっきり言って・・・
この記事は新建ハウジング1月30日号8・9面(2026年1月30日発行)に掲載しています。
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