経済産業省は11月28日、「価格交渉促進月間(2025年9月分)」のフォローアップ調査結果(PDF)を公表した。これによると、「建設業」で直近6カ月間に価格交渉を行った企業の割合は67.4%となった。このうち「発注企業から交渉の申し入れがあった」は35.3%、「受注企業から発注企業に交渉を申し出た」は32.1%を占めている。
コスト上昇分から見た価格転嫁の状況は、転嫁率が53.2%で、「10割(全額転嫁できた)」のは18.9%だった。「9~7割」は18.8%、「6~4割」は8.0%、「3~1割」は22.0%などとなっている。「価格転嫁できていない(0割)」は9.7%、「マイナス(減額)」は1.1%だった。
交渉平均点は全業種でトップ
発注企業が価格交渉に応じたかどうかを点数化した「交渉平均点」は、建設業では7.96点となり、前回(3月)調査時と比べて0.31ポイント上昇。調査を実施した業種の中で1位となった。
交渉平均点は、受注企業から価格交渉の申し入れがあり交渉を行った場合、または交渉の必要がなかった場合を「10点」とし、コストが上昇したが発注量の減少や取引停止を恐れて交渉を申し出なかった場合に「-5点」、交渉を申し出たが応じてもらえなかった場合を「-10点」として採点している。全業種平均は7.30点だった。

価格交渉実施状況のランキング
建設業におけるコスト増に対する転嫁率を詳しく見ると、発注者調査では53.2%となり、前回調査から0.6ポイント上昇。このうち「原材料費」は53.9%(同0.2ポイント増)、「エネルギー費」は49.8%(同1.6ポイント増)、「労務費」は51.6%(同1.2ポイント増)となった。業種別ランキングでは12位だった。
一方、受注者調査での転嫁率は53.4%(同0.9ポイント増)、うち「原材料費」は54.4%(同0.5ポイント増)、「エネルギー費」は50.7%(同1.3ポイント増)、「労務費」は52.3%(同0.8ポイント増)で、業種別ランキングでは9位となっている。
回答者の個別意見では、「下請の意見を聞く姿勢が強まり、利益を確保できる状況となっている」「コスト上昇に配慮した値上げ回答を得られ、取引継続が可能」といった声があった一方で、「価格交渉機会がなく、追加費用や契約外業務も請負側が負担している」「価格見直しもなく交渉余地がない」など、厳しい意見も見られた。
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