内閣官房と公正取引委員会は1月1日付で、「中小受託取引適正化法」(取適法)の施行に合わせて改正した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(PDF)を公表、施行した。
今回の改正では取適法を踏まえ、記載内容の見直しを実施。労務費の転嫁に関して、発注者・受注者のそれぞれに求められる行動指針や具体的な取組事例を追加した。さらに発注者が受注者からの協議要請を拒み一方的に価格を据え置くといった、公正な競争を阻害する行為に対して、公正取引委員会が厳正に対処することが明記された。
受注者向けの情報では、価格交渉の準備などに用いるツールとして、「中小企業・小規模事業者の価格交渉ハンドブック」(中小企業庁・PDF)、「価格転嫁検討ツール」「儲かる経営キヅク君」 (中小企業基盤整備機構)を紹介している。
経営トップの関与を強調
発注者として求められる行動では、経営トップの主体的な関与を掲げた。経営トップの判断として労務費の上昇分の価格転嫁を受け入れる取組を実施し、方針や要旨を書面などの形に残る方法で社内外へ明示すべきだとしている。さらに現場担当者がその取組を容認し、取組状況を定期的に報告することを求めている。
このほか、発注者側から定期的に協議の場を設けることや、受注者から取引価格の引上げを求められた場合に協議を行うこと、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を行うこと、労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を発注者側からも提案することなども採るべき行動として挙げた。
一方、受注者に求められる行動では、発注者との価格交渉に使用する根拠資料として、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額などの公表資料を用いることを提案した。さらに、受注者の交渉力が比較的優位になるタイミングを活用すること、発注者から価格を提示されるのを待たずに自ら希望する額を提示することなども勧めている。
指針で価格引上げを促進
公正取引委員会が2025年に実施した「価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」によると、同指針の認知度は59.6%で、前年調査から10.8ポイント上昇した。また、労務費の上昇を理由として取引価格の引上げが行われた割合は、指針を「知らなかった者」が44.6%だったのに対し、「知っていた者」では61.1%に達するなど、指針を知っている事業者の方が価格交渉で取引価格の引上げが実現しやすい傾向が明らかとなった。

労務費転嫁指針の認知度(上)と取引価格の引上げが行われた割合
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