国土交通省は1月5日付で建設業者団体の長などに向けて行った通達の中で、改正建設業法により禁止された「必要な労務費を著しく下回るおそれのある取引」の事例を示し、注意を呼び掛けた。事例で示した内容が同法上問題となり得ることに留意し、適正な労務費を確保した取引に努めるよう求めている。
今回公表された事例は、建設Gメンによるこれまでの調査で確認された内容をとりまとめたもので、代表的な事例を6つに分類している。
「根拠なき減額」などが該当
類型①「単価を見直さない据え置き」では、長年の取引を理由に労務単価に関する協議の場を設けず、数年前の単価のまま据え置く行為が該当。本来は年1回など定期的な協議の場を設けることが適切であると指摘した。
類型②「一律一定比率等の減額」では、適正な労務費を踏まえた見積りに対して根拠なく一律の比率で減額したり、端数調整として値を下げたりする行為が該当。値引きを行う際には受注者の利潤相当額の範囲などから充てるべきだとした。
類型③「予算額を前提とした指値」では、工事予算額との整合性を優先し、施工に必要な労務費を逆算して見積もる行為が該当。予算額をもとに労務費を決定するのではなく、注文者が請負代金を指定した上でその額で施工できる者を募集する、労務費を含む工事の施工に必要な経費を明らかにした上で工事の注文に必要な予算を確保するといった対応を取るよう求めた。
類型④「相見積などを基にした指値」では、相見積で提示された中から最安値の見積もりを基準として、他社に対しても同額以下の変更を強要する行為が該当。安価な契約を目的に労務費を減額した見積もりへの変更を依頼することは、適正な労務費の確保を妨げると指摘している。
類型⑤「取引関係維持などを意図した減額」では、長年の取引関係や新な取引関係の構築を理由として労務費を減額する行為が該当。これらも合理的理由や根拠のない減額に当たる。
類型⑥「工事条件を考慮しない価格設定」では、現場ごとの条件(難易度など)を考慮せず、一定の歩掛や実現不可能な歩掛を用いる行為が該当。建設工事は現場ごとに条件が異なるため、過去の同種工事の実績や職種分野別の「労務費の基準値」などを考慮すべきだとした。
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