全国建設労働組合総連合(全建総連)は、物価・建材価格の高騰などが組合員にどう影響を与えているかを把握し、対策を要望するため、第5回目となる「住宅の建材・設備の価格高騰等の影響に関する工務店アンケート」を実施。このほど調査結果をとりまとめ、公表した。
住宅の建材・設備の価格高騰の影響について、1年前(2024年4月)との比較では、工事原価、見積り価格ともに引き続き上昇が見られるものの、「(工事原価が)かなり上がった」、「(見積り価格に)大きな影響が出ている」は前回調査より減少。特に見積り価格については、前回調査では「大きな影響が出ている」が38.5%と4割近くに上ったが、今回の調査では4.5ポイント減少し、34.0%となった(下グラフ)。
値上がり分を顧客に負担してもらったと回答した事業者の割合は、前回調査の64.5%から、68.9%に上昇し、いまだ十分とは言えないものの価格転嫁が進んでいるようすがうかがえた。値上がり分のすべてを自社で負担している事業者は4.4%、一部を自社で負担している事業者は26.7%で、前回調査よりもそれぞれ減少しているが、約3分の1の事業者で十分な価格転嫁ができているとは言い難い難い状況が続いている。(下グラフ)。
リフォームと新築で、工事費に対しての値上がり率を聞いたところ、前回同様にリフォーム、新築ともに10~19%の値上がり率が多いことがわかった。
回答者の具体的な声としては、「資材高騰の影響が長く続き生活が苦しい」「電動工具や金物も値上りしている。建築工事に不可欠なツールだが、補助金もない。移動に不可欠な燃料代も経営の負担」「建材、設備の高騰だけが工務店の経営を圧迫しているわけでは無い事を忘れないで欲しい」「5年前40坪の新築1500万円でギリギリ建築できたが、物価高騰により、今は4000万円くらいになった」「家を建てたいが、高額で建てることが出来ないとの声を多く聞く」といった、資材価格や物価高騰に苦しむ工務店の切実な声が多く聞かれた。
アンケートは2025年4月9日~5月30日に実施。39都道府県、1196社から回答を得た。
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