中小企業庁は6月20日、「価格交渉促進月間(2025年3月)」のフォローアップ調査結果(PDF)を公表した。これによると、「建設業」の転嫁率は52.6%で、前回調査から2.3ポイント増加。要素別では「原材料費」53.7%(同2.1ポイント増)、「エネルギー費」(同2.2ポイント増)、「労務費」50.4%(同3ポイント増)となり、価格転嫁が進んでいる。
一方、「価格交渉は行われたが全く価格転嫁ができなかった」企業の割合は7.2%で、前回調査から1.8ポイント減少した。「価格交渉の実施ランキング」では、「建設業」は7.65ポイント(同0.5ポイント増)に達し、前回の7位から4位に上昇している。
コスト全体から見た価格転嫁の状況は、「10割」が19.4%、「9~7割」が19.7%、「3~4割」が22.6%などとなっている。何らかの理由で価格転嫁を見送った割合も17.2%に上った。
個別意見では、「価格交渉の際、他の同業者より安くしないと発注できないと言われた」「立場上、意見が言えず大幅な値引きを迫られた」「コスト上昇のため値上げを申し入れたが、価格を据え置くことを一方的に決められた」―などの意見が寄せられた。
全体の7割「労務費交渉できた」
全産業(平均)の価格転嫁率は52.4%で、昨年9月時点より2.7ポイント増加。発注側企業からの申し入れで価格交渉が行われた割合も3.2ポイント増の31.5%となった。価格交渉の状況(※「価格交渉不要」の回答を除く)では、「価格交渉が行われた」割合が89.2%となり、前回調査から2.8ポイント増加。価格交渉を行った企業のうち73.2%は、労務費についても価格交渉ができたと回答している。
同調査は、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」に実施するアンケート調査結果と、約2000社を対象とした下請Gメンによるヒアリング結果をまとめたもの。調査期間は25年4月21日から5月30日。回答企業数は6万5725社。
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