矢野経済研究所(東京都中野区)は、国内の中古住宅買取再販市場に関する調査結果を公表した。2024年の市場規模は成約戸数ベースで前年比13.3%増の5万2800戸と推計。2025年は18.8%増の6万2700戸に達する見込みを示す。
本調査における中古住宅買取再販とは、中古戸建て住宅や中古マンションを不動産会社等が一旦購入し、リフォームやリノベーションを施した後に販売するビジネスモデルを指す。不動産会社が購入する中古マンションについては、一棟単位か区分所有(一室)単位かを問わない。リフォーム・リノベーションの範囲は原状回復から全面改修まで幅広いが、本調査では工事内容の詳細は対象外とした。市場規模は成約戸数および成約金額ベースで算出し、今回は成約戸数を公表している。
中古住宅買取再販市場の拡大が鮮明になった背景にあるのは、新築住宅価格の高止まりだ。建築コストの高騰に伴い、相対的に割安感のある中古住宅への需要が増加した。特にリフォームやリノベーションが施され、新築同様に入居できる買取再販物件が消費者の人気を博している。
投資目的の需要も旺盛だ。マンション一棟や戸建て空き家を対象とした買取再販物件は、預金以上の利回り確保が期待できるほか、家賃収入を獲得することで資産形成を求める投資家層に支持が広がっている。
主要買取再販事業者の業績は近年、好調が続く。具体的には販売物件数の増加や都心部の高価格帯物件の成約が収益に寄与した。粗利益改善策などの企業努力も成果を上げ、採算改善が進んでいる。今年度は販売単価の上振れと高価格帯比率の上昇が重なり、好業績の傾向が鮮明になった。
将来展望は拡大基調とした上で、2030年の成約戸数は2024年比43.2%増の7万5600戸に達すると予測。住宅ローン金利は緩やかな上昇が想定されるものの、低金利環境や住宅取得時の税制優遇措置の継続が取得を下支えする見通しだ。
新築価格の高止まりが続くなか、新築同等の住環境を提供する買取再販物件への需要は持続する。さらに築年数の経過に伴い、改修を必要とする住宅ストックが増えることで、再販物件の供給も強化。市場拡大を後押しする構図が形成されることが期待されるとした。
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