日本政策金融公庫 総合研究所が11月26日公表した2025年7~9月期の「小企業の雇用に関する調査」結果(PDF)によると、現在の従業員数が「不足」していると答えた企業割合は38.4%となり、前回調査(前年同期)から1.3ポイント上昇した。業種別では、製造業と小売業を除くすべての業種で不足感が上昇している。
このうち建設業では58.4%が「不足」と回答し、運輸業(61.8%)、情報通信業(58.7%)に次ぐ水準となった。建設業の過不足DIは、全業種の平均が31.2だったのに対し、55.5と大きく上回っている。

「不足」割合上位3業種の従業員不足DI
建設業、人材確保で賃上げ加速
従業員の増減については、建設業では「減少」が17.2%、「増加」が14.2%、「不変」が68.7%となった。企業方針は「減少」が1.8%、「増加」が51.8%だったことから、過半数の企業で従業員を増やす意向を示しているにもかかわらず、採用に至っていない様子がうかがえる。
人手不足による影響(全業種)については、「人手が足りず、需要の増加に対応できない」(44.9%)、「人手を確保するために賃金を上げている」(42.7%)との回答が多かった。また、人手不足への対応では、「増員(パート・アルバイトを含む)」(52.3%)、「賃金の引き上げ」(40.4%)が上位を占めた。
給与水準DI(全業種)は47.8となり、前回調査から5.0ポイント上昇。従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「上昇」した割合が高い傾向にある。このうち建設業の給与水準DIは50.9で、前回調査から3.8ポイント上昇。給与水準が上昇した理由として、建設業では72.7%の企業が「人材の定着・確保」を挙げた。
来年度の方針については、賃金総額が「増加」すると答えた企業の割合は全業種で48.4%、建設業では53.6%に上っている。

3業種の給与水準と給与水準DI
同調査は、同公庫の取引先1万企業を対象に実施し、4955企業から回答を得たもの。このうち建設業は1100企業が調査対象となり、625企業(構成比12.6%)から回答を得ている。
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