「下請中小企業振興法」(振興法、5月23日公布)の具体的な方針を定めた「振興基準」(PDF)が10月2日に改正された。委託者と受託者が遵守すべき内容を示したもので、事業所管省庁が業種別に策定するガイドラインの根拠となる。「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)、「振興法」の改正法とともに2026年1月1日の施行を予定している。
今回の改正では、呼称を「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「下請代金」は「製造委託等代金」に変更。委託事業者に対し、直接の取引先だけでなく、さらにその先の取引段階にある中小受託事業者も含めた、サプライチェーン全体での共存共栄関係の構築を求める。
協議・契約締結を徹底
委託事業者の発注方法では、継続的取引において基本的な事項を定めた契約を締結し、その契約に基づいて取引を行う。また、曖昧な契約とならないよう十分に協議を行った上で、発注内容、納期、価格、付随費用、支払手段、支払期日などについて、書面(電磁的記録も可)で明示すべきだとした。
価格については「改正下請法」に基づき、協議なくコスト上昇に見合わない対価を決定することや、一方的な価格の据え置き・減額を禁じる。代金の支払いについては、発注に係る物品などの受領日から60日以内に、受託事業者が現金で満額を受け取れるよう徹底する。銀行口座への振込手数料や現金化に伴う手数料などは委託側が負担する。

代金決定のイメージ
知的財産保護も明確に
委託事業者と受託事業者との間で契約書により、知的財産権の帰属を明確に定めることも求められる。例えば、設計図・デザインなどの著作権、企業や商品のロゴマークなどの商標権、独自工法やノウハウなどの営業秘密が該当する。
他にも新たな基準として、振興事業計画・業種別ガイドライン・自主行動計画の作成、事業承継に向けた取組、パートナーシップ構築宣言、計算書類の信頼性確保、債権の譲渡円滑化などが盛り込まれた。
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