新建ハウジングは、設計力向上を通じて“指名受注工務店”を目指す「シン・アーキテクトビルダー塾」を、10月から開講する。9月1日にはプレ企画として、同塾の講師を務めるLivearth×OhashiArchitects代表の大橋利紀さんによるセミナーを開催。大橋さんは「価格で比較されない『指名受注工務店』になるための方法」と題して自身の信念や取り組み、そして同塾の趣旨やゴール、内容について、約1時間語った。

「価値観の合うクライアントだけに選ばれる存在」がゴールだと説く大橋さん
大橋さんはまず、工務店を取り巻く現状として、サプライチェーンの混乱による資材高騰、中間層の多層化、法改正による高性能住宅の標準化、デザインノウハウの普及による同質化、と4つの視点を挙げた。従来型の延長では競争優位が築けず、受注は不安定化していると警告。多くの他社と競合し、最後まで価格で比べられる「薄利多売」の形態から脱し「顧客から信頼の下で選ばれ、値段が高くても喜んでいただける『厚利少売』の形態で生き残るための戦略が必要だ」と訴えた。
その戦略の柱として「指名受注工務店」を掲げ、顧客が価格ではなく価値で選ぶ存在となるために、大橋氏は経営戦略の大家、マイケル・ポーターが提唱する「競争優位性の確保」のための3段階を紹介。
①性能不足をなくす「生産性のフロンティア」、②何かを犠牲にして強みをつくる「トレードオフ」、③複数の「トレードオフを伴う強み」を相互に高め合う「独自の物語の構築」を核に据えることの重要性―の3点を強調。特に「物語」の構築に力点を置き、同社が掲げる「庭のない家は設計しない」「華美にデザインされた建物は設計しない」など“やらないこと”の宣言を例に挙げて、「非合理に見える選択が全体では独自の合理性を形づくる視点が欠かせない」とした。
最終的には「高性能 × 独自の物語 × 独自の設計」という3つの要素をかけ合わせることで、より高次元の価値を創造・提供できるようになり、その結果、価格で比較されることなく、価値観の合うクライアントだけに選ばれる存在となる。これが大橋さんの目指す理想的な工務店像であり、塾のゴールでもあると位置付けた。
塾は10月14日から全6回で、リアル体験を徹底したプログラムを特徴とし、全て現地開催。大橋氏が設計を手がけた実物件や名建築を解説付きで体感できるほか、並行して「哲学」「マーケティング」「設計」「経営」などを体系的に学ぶ。
最終回では神奈川県葉山町にある国登録文化財「葉山加地邸」で学びの成果として各社が事業計画を発表する。

この記事は新建ハウジング9月10日号5面(2025年9月10日発行)にも掲載しています。
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