10月に開講する『シン・アーキテクトビルダー塾』に先立ち、塾長を務める大橋利紀さん(Livearth × Ohashi Architects)が登壇し、「設計の力」が経営にもたらす価値と、地域で長く信頼され続ける工務店になるための本質について語ります。
大学卒業後に入社した建設会社では、理想と現実のギャップに悩みながらも、設計や現場監督の経験を通じて「住まい手のための家づくり」に目覚めました。2008年には父の工務店に戻り、経営と向き合いながら設計・施工・経営を統合する現在のスタイルを築いてきました。
試行錯誤を重ね、自身の体験価値を積み上げてきた大橋さんだからこそ語れる、地域で持続的に信頼される「指名受注工務店」になるための方法を、本セミナーで特別にお話しいただきます。
この人に学ぶ 歩みと哲学。
大橋氏が語る、会社再生から“選ばれる工務店”へ至る道
【工務店の道に進んだ経緯】
岐阜県の工務店の家に生まれ、木の香りや職人の使う工具の音がする中で育つ。職人たちの姿に憧れ、自然とものづくりに興味を持ち、建築学科へ進学。建築に魅了され、歴史やデザインに没頭。文献を読み、国内外の建築や集落を見学してまわる学生時代を過ごす。モロッコやトルコ、中国の無名職人が生んだ建築に、素材や技法がもたらす普遍的な美を見出した。
卒業後は大阪の建設会社に設計職で入社。理想と現実のギャップに悩みながらも、住まい手のために設計するという本質に気づき、現場監督も経験。2008年、父の経営する工務店に戻るが、リフォーム中心で希望する設計提案が難しく、経営も不安定な時期が続いた。新築相談を断られるなど悔しい経験を通じて、「自社らしい家づくりとは何か」を模索し始める。
【経験と学びから生まれた家づくりの哲学】
2012年、新築事業部を立ち上げ、「手仕事×素材×設計事務所×工務店」をコンセプトに挑戦を開始。営業経験ゼロから初年度3棟の受注を果たす。自社の強みを模索する中、2014年に訪れたドイツ・スイスの高断熱住宅に衝撃を受け、日本に合ったパッシブハウスの可能性に目覚める。
帰国後、大学教授や研究者を訪ねて断熱・構造・設計・経営など各分野の知を吸収。睡眠を削り、実践と学びを重ねた結果、「数値化できる基本性能」、「情緒的な感性デザイン」、「生活のしやすい基本デザイン」のすべてを統合する本質的価値を実現することが、自身が目指す家づくりであることに気づいた。2016年には本質改善型リフォームで最優秀賞を受賞し、同事業が加速。2018年に社長就任、「Livearth」ブランドを設立。翌年には独立ブランド「リヴ・リノ」も展開し、エコハウス大賞やNHK放映などで広く認知される。
【学んだものを次の世代へ】
分野横断的な学びと実践により、Livearthの家づくりは深化する。多くの専門家との人脈は財産となり、その恩恵を次世代に還元すべく塾の講師を引き受ける。志を共にする工務店を増やし、業界全体の底上げを目指している。
開催概要
開催日時 | 9月1日(月)13:30~14:30 |
参加方法 | オンライン(Zoom) |
参加費 | 無料 |
メールご案内 | 開催日1週間前と前日に最新情報をメールにてご案内いたします。 |
受付締め切り | 2025年9月1日(月)14:30 |
主催 | 新建ハウジング |
講師
大橋 利紀 氏 Livearth×OhashiArchitects 代表 |
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岐阜・愛知・三重・滋賀を商圏に、家づくりを手がける工務店Livearthの代表取締役社長。設計事務所OhashiArchitectsの代表取締役も務める。地域の風土を生かした普遍的なデザインと「心地よさ」を見える化する高性能を兼ね備えた家づくりを理念としている。 新築事業は「Livearth」、大規模改修事業は「Livreno」、家守り事業は「Livearthユーザーズサポート」、設計事業はOhashiArchitectsがそれぞれ担っている。 |
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2016年 自立循環型住宅研究会アワード最優秀賞受賞
2019年 日本エコハウス大賞ビルダーズ賞受賞
2021年 新社屋+モデルハウス「暁の家」開設
2022年 日本エコハウス大賞NEXT工務店賞受賞
2023年 ウッドデザイン賞受賞
2023年 LIXILメンバーズコンテスト グランプリ
2024年 日本エコハウス大賞 奨励賞受賞『闌の家』
2025年 LIXIL主催の全国住宅コンテスト 新築部門で史上初の2回目のグランプリ頂上決戦 他受賞多数。
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■公式サイト:https://www.livearth.co.jp/ https://www.ohashi-architect.co.jp |
セミナー開催にあたりLivearth・大橋利紀さんよりメッセージ
法律の改正により性能の底上げと高性能標準化が進み、デザインの整え方のノウハウが普及し、 同質化が進む家づくりの中で自社の存在価値と立ち位置をあらためて問いたいと考えます。 中間層の多層化が進み、住宅の取得という選択肢のなかで注文住宅の位置づけが大きく変化する現在、 多くの工務店・設計事務所は、これまでの延長線上の家づくりにおいて、 受注や提供価値への不安定化と未来への展望の不安がより顕著化しているように感じています。
現在の大きな経営的な環境要因の変化の中で、「自社の本質的価値をいかに形成するか?」が、指名受注工務店になるための唯一の方法です。 大量の情報のカオスの中で、価格で比較されない価値とは何か?論理を超えた部分の価値とは?本質的価値とは?
また、それを実現化するための中核に位置するものは「設計の力」だと確信しています。 その設計力をいかにして養うか?何を拠り所に設計するのか?
目指すゴールは、ベストプラクティスをベンチマークして劣化コピーをするものでもなく、テンプレートの空欄を埋めて事業計画を進めるものでも、トレンドを常に追いかけ続け消費し続けるものでもありません。ゴールは、各社が各地域にて中長期的な目線で継続可能な「指名受注工務店」を形成することです。
本セミナーの受講者の方が、10年後を見据えた事業形成に一筋の光芒となればと願っています。
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