住宅ローンテック企業のiYell(東京都目黒区)は11月27日、最新の調査レポート「住宅ローン市場 消費者動向レポート」を発表した。クラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」における事前審査データを分析し、2023年以降の市場変化を可視化したもので、これによると、2023年から25年にかけてペアローンの活用が約8.6倍に増加したことがわかった。
ペアローン利用者が増加している背景には、住宅価格の上昇と金利環境の変化がある。同レポートでは、東京23区の中古マンション(70㎡)価格がこの2年間で約1.5倍に上昇したことを指摘(下グラフ)。さらに、2024年3月のマイナス金利政策の終了、2025年1月の政策金利0.5%への引き上げも影響したとみられる。
こうした環境変化の中で、「今買わなければ手が届かなくなる」という心理が強まり、ローン申請件数が増加。特にペアローンの急増は、共働き世帯が返済リスクを分散しつつ希望物件を取得しやすくする動きを反映している。
レポートは、「不動産価格の上昇に加え、金利変動というマクロ要因が重なり、消費者はリスク軽減を意識した戦略的行動を強めている。その象徴がペアローンの選択」と分析。今後もこの傾向が続く可能性が高いとみている。
さらに、工務店・住宅事業者に向けては、「価格や金利といった数値訴求にとどまらず、消費者の不安に寄り添い、ペアローンなどのリスク分散型ローンの提案や安心感を与える情報発信が重要になる」と提言している。
■関連記事
住宅ローン、3人に1人が「後悔」 三井住友トラストが意識調査
住宅ローン業務支援システムに新機能、事前審査を大幅短縮
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。































