東京都江戸川区は12月15日、(株)EDFなど民間4社の共同出資により地域エネルギー会社「江戸川電力」(肥沼直樹代表取締役)を設立した。一般家庭の既存住宅に太陽光発電システムを無料で設置し、発電された電力を通常よりも割安な料金で提供するPPA事業を展開する。これにより区が掲げる「2050年カーボンマイナス」の実現とエネルギーの地産地消を柱とする脱炭素化を推進する考えだ。
資本金は5000万円で、このうち1割に当たる500万円を区が出資する。加えて総額4500万円の事業補助を行う。今後、2030年度までに855世帯にシステムを導入。31年度には売上額を7000万円にする計画だ。まず今年度内にモニターを実施し、26年夏以降に50件の一般向け(設置世帯)募集を開始する。
同事業では、区内の既存住宅の屋根などに太陽光発電パネルを無料で設置。設置スペースを提供した区民が、発電した電気を安価な使用料で利用できる仕組みを整える。電気の使用料は一般的な電力事業者が提供する価格設定よりも低くする方針で、例えば電気料金を30円/kWhと想定した場合に、年間5万円程度安くなると試算している。(※条件により異なる)

江戸川区が目指すPPAモデル
住宅の脱炭素化を“強力”推進
江戸川区は脱炭素化を強力に推進する理由として、区内の陸域の7割が海抜0メートル地帯にあり、気候変動の影響、中でも水害を受けやすい地域特性があることを挙げた。また、気候変動の要因となるCO2排出量のうち約4割を家庭部門が占めるといった背景もある。そのため住宅の脱炭素化が「カーボンマイナスの実現」の鍵を握ると位置付けている。
東京都の条例により、4月から太陽光発電設備などの設置が義務付けられたが、区内の住宅ストックは現在約12万棟あり、2050年までに新築または建て替えられるのは約5万棟程度になる見通しだ。したがって新築住宅への取り組みだけでなく、残る約7万棟の既存住宅の脱炭素化も同時に進める必要がある。
区の調査によると、区内の太陽光パネル設置率は2.77%(11万7686棟中3259棟)に留まる一方で、パネルが設置されていない住宅の屋根の多くは、太陽光発電適合度(ポテンシャル)が高いことが明らかとなっている。

江戸川区の太陽光発電適合度
◆参考資料:「地域脱炭素の実現に向けた江戸川区の考え方」江戸川区(PDF・2025年4月作成)
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