建設DX業、資材販売業などを手掛ける建築市場(東京都豊島区)は、建築施工に従事する職人を対象に、働き方と報酬に関する実態調査を実施した。調査結果によると、84.5%が「自分の子どもや若者に職人の仕事を勧めたくない」(全く思わない35.0%+あまり思わない49.5%)としており、業界の将来に対する懸念が強まっている。

調査は2025年11月19・20日にインターネットを通じて行われたもの。対象は一都三県で建築施工に携わる専門的な技能を有する職人(一人親方・個人事業主、および企業に所属する職人)103人。
はじめにこの1年ほどの中で世の中の賃上げの動きが、自身の報酬に反映されていると実感しているか質問。「全く実感していない」が45.6%、「あまり実感していない」が33.0%と、全体の78.6%が実感していないと回答しており、建設業界における賃金上昇の波が職人層に届いていない実態が明らかになった。
また、「技術・仕事の質が正当に評価されている」と回答したのはわずか4.9%。「どちらかといえば評価されている」(25.2%)を含めても30.1%と低水準だった。評価されていると回答した人は「元請けや設計者と対等な立場で協議・提案ができること」「技術を理由に指名で仕事が来ること」などを理由に挙げている。
一方、全体の57.3%が「価格競争に巻き込まれている」(巻き込まれている30.1%+どちらかといえば27.2%)と回答。その主な要因として「中間マージンの多さ」「相見積もりによる買い叩き」「価格交渉の機会の欠如」などが挙げられた。
将来への不安も顕著であり、76.7%が仕事の継続性に不安を抱えていると答えている。新規取引先の開拓についても74.7%が「十分に行えていない」とし、営業活動の難しさが浮き彫りとなった。こうした状況の中、約8割の職人が「施主と直接つながり、コスト構造や報酬条件が明確に把握できる取引環境があれば、働き方が改善され、仕事への誇りも高まる」と回答。調査を行った建築市場は、「中間構造の見直しや、職人と施主を直接結ぶ仕組みの必要性が示唆された」とまとめている。
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