厚生労働省の労働政策審議会は1月14日、労災保険制度の見直しに関する報告(PDF)をまとめた。同省では報告内容を踏まえて法律案要綱を作成し、法整備を進める方針だ。
見直しが必要な項目として、災害発生状況によって保険料を増減する「メリット制」の在り方や、労災保険給付請求権の消滅時効期間の延長、一人親方などが加入する「特別加入団体」の運営基準の厳格化など盛り込んだ。
一定の災害防止効果を評価
このうち「メリット制」については、一定の災害防止効果があることに加え、事業主の負担の公平性にもつながることから存続させる方針が示された。電子申請を行う事業主に対し、メリット収支率の算定基礎となった情報を提供し、負担する保険料が増減した理由を把握できる仕組みも整える。
その一方で、メリット制が「労災かくし」の助長や労災を受給した労働者への不利益な取扱いにつながるといった懸念もあることから、引き続き制度の効果や実態の把握に努めるとした。
同省の調査によると、2023年度に「労災かくし」で送検された事業者の動機は、「元請事業者から今後発注を受けられなくなる」(17件・16.5%)、「監督署による司法処分や行政指導等を受けることを避けたかった」(12件・11.7%)といった回答が多く、「メリット制により労災保険料の増額が生じることを懸念した」と答えた事業者はなかった。このことから審議会では、メリット制が「労災かくし」に与える影響は確認されないとしている。

参考資料:「メリット制」による保険料の適用割合
石綿疾患など請求期限を延長
療養補償給付、休業補償給付、介護補償給付などの労災保険給付請求権については、現行で消滅時効が2年となっているところ、発症直後の請求が困難な石綿関連疾病、脳・心臓疾患、精神疾患などを対象に5年への延長を検討する。「労災保険制度の存在を知らない」「手続を忘れていた」といったケースも過去に見られたことから、周知方法についても改善する。
その他、働き方の多様化や就業構造の変化に伴い、「遺族(補償)等年金」や石綿健康被害救済法における「特別遺族年金」について、男女の支給要件の差を解消する。満55歳以上、もしくは一定の障害のある妻に給付される「特別加算」を廃止し、夫・妻ともに遺族1人の給付基礎日額を175日分とする方向で調整する。
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