厚生労働省は7月29日、2025年度の「厚生労働白書」(PDF)を公表。この中で、建設業など業種別の職業性疾病や労働災害の予防対策について言及している。
建設業特有の職業性疾病への対応では、石綿(アスベスト)対策をはじめとした粉じん障害防止対策として、呼吸用保護具の適正な選択と使用、肺健康診断の着実な実施を重点事項として示した。
また、熱中症も職業性疾病の一つとして捉え、今年6月に義務化された職場における熱中症対策について明記。死亡災害のほとんどが初期症状の放置や対応の遅れが原因となっていることから、事業者に対して熱中症の早期発見のための体制整備、発見から現場離脱、緊急搬送までの手順の作成を義務付けている。
◆参考資料:リーフレット「職場における熱中症対策の強化について」(PDF)
墜落・はさまれなどへの対策を
建設業の労働災害対策については、墜落・転落災害が死亡災害の約4割を占めていることから、「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」(2023年3月改正)に基づき、「手すり先行工法」などの安全な措置を推奨。同じ現場で働く一人親方などに対して、安全衛生に関する知識習得のための教育を計画的に行うよう求めている。
建設業の死亡災害で2番目に多い、機械へのはさまれや巻き込まれ、激突などへの対策では、安全機能を有する車両系建設機械の活用を推進。中小企業を対象とした「高度安全機械等導入支援補助金事業」の利用を呼び掛けている。補助対象は移動式クレーン(3トン未満)、油圧式ショベル、ホイールローダー、締固め用機械(人が搭乗するもの)などで、補助対象経費の2分の1、または基準額(50~200万円)が支給される。
高齢者への配慮も努力義務に
白書では、2026年4月1日以降に順次施行される「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」についても触れている。主な改正内容は、①個人事業者等に対する安全衛生対策、②職場のメンタルヘルス対策、③化学物質による健康障害防止対策、④機械等による労働災害の防止、⑤高齢者の労働災害防止。
人手不足などを背景に、建設業においても技能者の高齢化が進んでいるが、同改正法の施行後は高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置が事業者の努力義務となる。具体的には、高年齢労働者の労災防止に向けたリスクアセスメントの実施、健康や体力の状況の把握、身体機能の低下を補う設備・装置の導入などが求められる。
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