国土交通省が10月14日に2024年度の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」結果(PDF)で、工期変更に伴う労務費の増大が、企業の利益を圧迫している様子が明らかとなった。
工期変更後の交渉で、増加した工事費が想定通りに認められたのは51.9%で、残りのうち36.6%は「一部が認められた」、2.6%は「認められなかった」、8.9%は「交渉しなかった」と答えている。さらに、最終的に利益が確保できたかについては、53.8%は「想定利益は確保できた」と回答したものの、前年比では0.9ポイント減少。一方で、「想定利益をやや下回った」(33.9%)、「想定利益をかなり下回った」(7.4%)、「赤字となった」(2.7%)などの回答も見られた。
工期変更で工事費が増えた要因については(複数回答)、「労務費の増大」との回答が80.1%を占めた。次いで、「機械経費等の増大」(38.0%)、「材料費の増大」(36.0%)、「施工方法の変更」(29.7%)の順となった。

利益の確保について
半数近くで工期変更
契約後の工期変更や一時中止の有無については、「工期変更が行われた」が46.6%、「一時中止となった」が12.3%。このうち、工期変更により工事費が「増加した」と答えた企業は46.8%に上っている。
工期が変更された理由については、「関連工事との調整」(36.2%)、「悪天候・自然災害」(28.3%)、「人手の確保難航」(25.0%)との回答が多かった。工期不足に対して実施したことでは、「作業員の増員」(54.1%)、「休日出勤」(50.7%)、「早出・残業」(41.2%)、「工程の合理化」(28.4%)が上位を占めた。

工期不足に対して実施したこと
労務費
工期の提示、8割は発注者から
工期の提案者については、「注文者が提示される場合が多い」が82.1%と大半を占めた。工期の設定方法については、「注文者と協議を行う」との回答が合わせて7割を超え、さらに全体の約6割で、工期の要望がある程度聞き入れられている。

工期の設定方法
初めに提案された工期が適切だったかについては、「妥当な工期の工事が多かった」が65.9%で最多となり、「余裕のある工事が多かった」との回答も3.0%あった。一方で、「短い工期の工事が多かった」(29.0%)、「著しく短い工期の工事が多かった」(2.1%)との回答も見られた。
同調査は、建設関連団体(116団体)の会員企業や民間発注者などを対象に実施したもの。建設企業(受注者)編では、2023年12月以降、25年1月1日までに請け負った工事についてアンケートを実施している。工事の元請企業の内訳は、「総合工事業」(46.0%)、「自社が元請」(36.9%)、「設備工事業」(4.5%)、「職別工事業」(4.4%)、「ハウスメーカー」(2.8%)など。
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