国土交通省は7月30日、「公共建築工事における工期設定の基本的考え方」(PDF)を7年ぶりに改定した。2024年に時間外労働規制が適用されたことなど、建設業における社会動向を踏まえて実施したもの。工事の規模や難易度、地域の実情、猛暑といった自然条件、施工条件などを踏まえて適切に工期を設定することを基本方針とする。
請負契約締結後に工期に影響を及ぼす事象が生じ、さらに受注者から工期変更のための協議の申出があった場合には、発注者と受注者とが協議した上で工期の変更を行う。予定していた工期で工事を完了することが難しい場合にも工事を一時中止し、協議による調整を行うべきだとした。
協議を行う目安として、▽設計図書と実際の工事現場の状態との不一致▽設計図書にない特別な状態の発生▽資機材・労務の需給環境が変化▽自然条件による作業不能日の増加―などを挙げた。自然条件は、多雪、寒冷、多雨、強風、猛暑などを想定。特に躯体工事や外構工事で自然条件の影響を強く受けることに配慮する。
工程別の具体策示す
具体的な方策は、企画・調査・設計、工事発注準備、入札契約、施工の各段階で実施。企画・調査、設計段階では、調整などに要する期間を考慮して予算要求を行うなど、事業が着実に進捗するよう配慮する。また、騒音・振動作業や立入り制限などの把握・協議、工期に影響を及ぼす施工条件の明示、施工段階で行う行政手続きの早期調整なども、配慮すべき事項として追加されている。
工事発注準備段階では、入居官署の引越し作業時期や工事中に対応すべき事項などもあらかじめ把握し、必要に応じて施工条件に反映させる。施工段階では、施工計画・施工図などの承諾を速やかに行うことや、工事関係書類の明確化・効率化を図ること、設備・内装などの後工程にしわ寄せがいくことのないよう工期を調整するよう求める。
遅延の要因となりがちな、発注者による施工計画や施工図などへの承諾については、発注者が「ウィークリースタンス」「ワンデーレスポンス」を心掛け、受注者からの質問や協議の申出に対してその日のうちに回答するか、回答期限日を設けることを原則とした。
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