「働き方改革」が進む建設業界。若者に選ばれる産業となるために週休2日制や月給制の導入、賃上げなどの取り組みを進める企業も増えている。
そこで、建設産業専門団体連合会(建専連)がこのほど公表した「働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果報告書」(PDF)をもとに、建設業における休日取得状況などについてまとめた。
同調査は、正会員34団体に所属する会員企業およびその下請企業を対象に行ったもので有効回収数は834件。調査期間は2024年11月12日~12月16日。
規則通りに休めない現場多数
報告書によると、就業規則などで定めた休日の内容については、「4週6休程度」が34.9%で最多に。「4週8休以上」を設定する企業が前年度の25.9%から27.5%に増えた。傾向として、社員数が多い企業ほど「4週8休以上」を設定する割合が高く、「100~299人」は55.9%、「300人以上」では80.0%となっている。
一方、社員数が少ない企業で「4週8休以上」を設定する割合は、「1~4人」では22.2%、「5~9人」では18.5%にとどまっている。職種別では、「大工工事業」(15.1%)、「鉄筋工事業」(14.9%)は2割を切ったが、「塗装工事業」(41.3%)、「内装仕上工事業」(40.5%)では約4割が「4週8休以上」を設定している。
しかし、実際に取得できた休日数をみてみると、「4週8休以上」が達成できたのは10.3%で、就業規則で決めた割合から17.2ポイントも下回った。さらに小規模企業ほどその傾向が見られ、実際に「4週8休以上」の休みが取れたのは、「1~4人」では16.7%、「5~9人」では9.6%と、ごくわずかだった。中でも「大工工事業」で取れた割合は2.4%と、完工高の大きい職種の中で最も低い値となっている。

就業規則による休日設定と実際の休日(報告書より抜粋)
工期の確保が最重要課題に
週休2日制を導入できない理由については、「適切な工期が確保できないため」が62.5%で最多に。次いで「元請企業が休ませてくれないため」(41.3%)、「日給の労働者の収入が減少するため」(39.0%)が多かった。
個別意見では、「休日が増えれば実質収入が減るので社員は厳しい。会社は持ち出しが増えるのでそれ以上に厳しい」(型枠大工・東京)、「工事現場の工程が今までと変わらない。以前は4週6休だったので何とか工程を守れていたが、月2回分の休日は人数を入れないと取り戻すことができない」(鉄筋・茨城)、「現在の若者はそこそこの給料で休みが多い職種を選ぶ傾向がある。若者のニーズに応えられるような環境づくりをしないと建設業離れは加速する」(型枠大工・京都)などの声があった。

週休2日制の不導入理由(報告書より引用)
これらの結果から、建設業界全体で休日取得に向けた動きが見られる一方で、現場レベルでは「作業量に比して工期が短い」、「(日給月給制のため)休日が増えれば収入が減る」などにより、週休2日制の実現が難しい状況となっていることがわかる。
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