国土交通省と防衛省は5月23日、退職自衛官の再就職支援などで連携強化を図ることを目的に、建設業界団体らと「建設業及び建設関連業並びに自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」を締結した。建設業界での退職自衛官の採用や予備自衛官制度への協力を推進することで、担い手不足に悩む両者の人材確保と退職自衛官の生涯設計の確立を図る考えだ。
今回、日本建設業連合会(日建連)など7団体が参加。不動産管理業関係3団体も同日、同様の申合せを締結した。住宅生産団体連合会(住団連)はこれらに先駆けて、3月28日に申合せを締結している。
申合せの内容は、▽退職自衛官の採用に関する広報(必要な資格、勤務環境、キャリアパスなど)の積極的な実施▽業種説明会の実施▽インターンシップ機会の設定▽職業訓練の充実▽予備自衛官制度への協力―など。
今回、参加を表明した団体は、日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会、全国測量設計業協会連合会、建設コンサルタンツ協会、全国地質調査業協会連合会、および全国賃貸不動産管理業協会、マンション管理業協会、日本賃貸住宅管理協会。
建設業界で退職自衛官の活用を
防衛省によると2023年度の退職自衛官は、2~5年の任期満了者が約3400人、一般の公務員よりも若い年齢で定年を迎える若年定年者が約4200人。退職時の年齢は、任期満了者が20代前半から30代後半、若年定年者は50代半ばだ。このうち約3~4割はサービス業に再就職し、自衛隊での専門的な知識や技能が再就職先で生かせていない。
さらに近年、自衛隊では自衛官の充足率(※定員に対する実際の自衛官の数)が低下し、9割程度にとどまるなど人材不足が深刻化。その一要因として、定年後の再就職への不安や収入の不安定さが挙がっている。

退職予定自衛官の年齢(防衛省資料に一部追記)
そこで政府は、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」を設置し、自衛官の処遇改善に向けた基本方針を策定。再就職支援の一環として、建設業・不動産関連業、鉄道業、運送業などの業界団体に退職自衛官の採用と予備自衛官制度への協力を求めている。
このうち建設業については、自衛隊に基地や陣地の建設・維持・整備に関わる部隊が存在し、建設関係の資格や免許を取得している人もあることから、即戦力としての活用を期待している。

自衛隊で取得可能な訓練科目(防衛省HPを参照)
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