国土交通省は9月18日、中央建設業審議会(中建審)の「労務費の基準に関するワーキンググループ(WG)」で、改正建設業法に基づいた労務費の基準について素案をまとめた。職種分野別の「労務費の基準値」案については、型枠、鉄筋、左官、造園など6職種ではおおむね方針が固まったが、住宅分野や内装、電工を含む18職種では、現在も調整が続いている。
各業界の実情に応じた「労務費の基準値」や基準値に係る細目(工種・作業)、実効性の確保策などについては今後も検討を続け、同省が最終決定を行う。12月初旬に開催予定の中建審総会で勧告する考えだ。
多角的施策で実効性を確保
素案によると、労務費の水準は適正な賃金原資を確保するため、1日8時間当たりの労務単価となる公共工事設計労務単価に、工事に従事する者の総労働時間(作業日数の総和)を乗じた額を基本とする。さらに作業内容や施工条件などを踏まえて個別に補正を行い、労務費を算出する。
基準の実効性を確保するための施策では、入口(契約段階)での取組と、出口(労務費・賃金の支払い)での取組を提示した。これまで商慣行となっていた総価一式での見積りを見直し、労務費や必要経費などを明確に示した見積書の作成・提出を促進する。
下流(受注者)から上流(発注者)への積み上げにより価格が決まる環境構造の構築や、CCUSレベル別年収の支払いの推進、建設Gメンによる不当に低い見積りへの指導監督の強化なども進める。これにより、賃金を原資とする低価格競争を抑制し、技能者の処遇改善に取り組む事業者が不利にならない環境を目指す。
契約当事者による「コミットメント制度」(支払いに係る表明・情報開示の合意条項)の構築や、技能者によるデジタル通報制度の導入など、技能者側からの働きかけや支払い状況の報告が可能となる体制も整える。

労務費基準・実行性確保策のパッケージ(イメージ)
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