国土交通省はこのほど開いた標準労務費に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループで、労務費基準の作成方針について検討を行った。この中で、住宅分野特有の事情を考慮した基準作成に向け、歩掛調査を行う方向性が示された。
全体的な方針としては、労務費は「公共工事設計労務単価(あるいはそれに相当するもの)×歩掛」を基本として、各職種で個別に必要な補正を行って算出する。
また、「職種ごとの細分化は最小限にとどめる」という基本方針を踏まえ、一つの工種(作業)に対して一つの標準的な規格・仕様にのみ労務費の基準を作成する考えだ。作業に特殊な技能が必要となる場合は、別途労務費を上乗せするなどして適正な水準を確保する。基準の更新については、公共工事設計労務単価や歩掛の改定と連動させ、年1回程度を基本とする。
木造・在来工法から調査開始
その一方で、住宅関連の職種については同省直轄工事での発注実績がなく、公的な歩掛が把握されていない。そこで、まずはシェアの大きい木造・在来工法や、戸建てまたは戸建住宅規模相当の集合住宅の職種について歩掛調査を行う。
具体的には、解体、仮設、基礎、足場、建方、防水、板金・屋根、外装、断熱・気密、造作、内装仕上、設備(電気、給排水・ガス)、美装、外構について調査を実施する。
さらに、これらの歩掛調査結果の活用が難しい一部の工事については、「適切な公共工事設計労務単価×現場環境・作業内容などに照らし合わせた適正な歩掛」により基準を設定する方向で検討を進める。この場合、工事の施工条件・作業内容などに応じて、適正な歩掛となるよう契約当事者間で補正を行う。
「一式」作業にも考慮を
住宅生産団体連合会(住団連)、全国工務店協会(JBN)など住宅関連団体との意見交換では、非住宅の工事と住宅で工事内容が全く異なるため、住宅と非住宅とで別の基準を作るべきだとの意見が出た。また、住宅工事の外構工事は「外構一式」として発注されることが多いが、その一式の中には外構基礎、ブロック、フェンス、植栽など多様な作業が含まれている。こうしたことも考慮すべきだとの意見が上がっている。
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