厚生労働省が9月24日公表した「労働経済動向調査(2025年8月)」の結果によると、建設業の労働者の過不足状況は、「不足」が61%、「過剰」が2%、「不足」から「過剰」を引いた「過不足判断D.I.」は59ポイントとなり、人手不足感が調査産業の中で最も高くなった。「過不足判断D.I.」の全産業平均は46ポイントとなっている。
不足している部門にどのように対応したか(複数回答)については、建設業では「中途採用の開始・拡大・強化」(73%)、「新規学卒者の採用の開始・拡大・強化」(66%)、「在職者の労働条件(賃金)の改善」(47%)が上位となった。
労働者が過剰となっている部門への対応(複数回答)では、「配置転換による労働者の送出し」(53%)、「中途採用の削減・停止」(29%)、「新規学卒者の採用の抑制・停止」「残業規制」(24%)といった回答が上位を占めた。

産業別正社員等労働者過不足判断D.I.
新卒枠での既卒者採用も
一方、建設業における正社員などの雇用状況を見ると、4~6月期の実績は「増加」が13%、「減少」が17%、「雇用判断D.I.」は-4ポイントだった。7~9月期は、「増加」が16%、「減少」が8%で、「雇用判断D.I.」は8ポイントとなり、プラスに転じる見通しだ。
2024年度の新規学卒者の採用状況については、建設業のうち70%の企業が正社員を募集。新規学卒者の採用枠で既卒者の応募が可能だった企業は73%で、このうち36%が既卒者の採用に至っている。
今後、新規学卒者の採用枠で既卒者を採用するかについては、「応募可能としたい」(35%)と「年齢によって応募可能としたい」(18%)の合計が半数を超え、「応募不可としたい」は4%に留まった。なお、政府では「青少年雇用機会確保指針」に基づき、3年以内の既卒者を新卒枠で応募受付するよう企業に対して要請している。
働き方改革への取り組み状況については、建設業では81%が「取り組んでいる」と回答。具体的な取り組み内容では、「業務等の見直し(効率化)」(71%)、「時間外労働の事前申告制」(63%)、「長時間労働抑制に関する数値目標の設定」(59%)といった回答が多数を占めた。
この調査は、景気の変動が雇用などに及ぼす影響や将来の見通しを把握することを目的に、4半期ごとに実施している。
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