国土交通省はこのほど開いた「第2回建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」で、外国人材の受け入れに関する課題をまとめた。
育成就労の転籍要件については、産業分野ごとの業務内容などを踏まえ、転籍が認められる期間を「1年以上2年以下の範囲内(原則1年)」とすることが基本方針として定められている。また1年を超えて転籍を制限する場合は、昇給など待遇の向上が求められる。
こうしたことを受け、建設分野では制限期間を2年に設定することは可能か、可能な場合にどのように昇給率などを設定するかが課題に。2年の制限期間については、前回の検討会で「時間をかけて育成したいという企業の意向とのバランスが重要」「現行の技能実習制度では3年間在籍するからこそさまざまな教育を行い、日常生活を支援するという面もある」などの意見が出ていた。
昇給について現状では、建設分野の平均賃金は2021年から2024年にかけて1.9%上昇。このうち技能実習生の昇給率(1号から2号への移行時)は、それを上回る上昇率となっている。さらに全産業の最低賃金が、同年の平均で4.2%上昇していることも考慮に入れる必要がある。
親子会社の「在籍型出向」も検討
また、現行では認められていない親子会社間での「在籍型出向」についても、要件を満たした場合に限り、例外的に在籍型出向を認める方向性で議論を進めている。これについては、「スキルアップのために有効」「さまざまな現場を経験することでスキルアップできる」「多能工化につながる」といった肯定的な意見があった一方で、「賃金目当てに残業がある企業への出向を申し出る懸念がある」「雇用責任が曖昧になり労働者の保護に欠ける」などの課題も挙げられた。
現在策定中の「キャリア育成プラン」(キャリアパス)については、CCUSの能力評価を基準として、「育成就労」はレベル1(技能検定基礎級程度)、「特定技能1号」はレベル2(同3級程度)、「特定技能2号」はレベル3以上(同1級程度)とすることを検討している。検討課題としては、「多能工化させたいというニーズが根強い」といった意見や、「日本語教育を企業側で実施することが難しい」「家族の帯同、生活基盤の整備、地域社会の共生の観点が必要」などの指摘も出ている。

中長期的なキャリアパス(案)
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