出入国在留管理庁はこのほど、2027年度から始まる「育成就労制度」の施行に向けた政省令案を公表した。パブリックコメントを5月28日まで実施し、運用に向けた体制整備を進める。
政省令案では、育成就労の期間を原則3年間とする一方で、妊娠、出産、育児などの事情により業務に従事できなかった期間を除くなどの配慮を行うことを明記した。従事させる業務については、特定技能1号レベルへの人材育成が計画的に行われるよう、一定の要件を設ける方針だ。
「必須業務」3分の1以上に
業務の要件は、外国人が従事する業務の範囲を特定技能の業務区分と同一とするため、「関連業務」「周辺業務」を撤廃。育成就労の産業分野に属さない業務区分の技能や、同一作業の反復のみによって修得する技能は同制度の運用方針から外れるとして認めない考え。
また、同制度により習得すべき技能に係る業務を「必須業務」に。「必須業務」の内容は、技能検定や育成就労評価試験の範囲に基づくものとする。「必須業務」にあたる期間は、就労期間全体の3分の1以上。他にも「安全衛生業務」を10分の1以上設ける必要がある。所定労働時間は、通常雇用の労働者の所定労働時間と同等とする。
都市部への転籍を制限
育成就労制度では、一定の要件を満たした場合に本人意向の転籍を認めているが、都市部の受入れ機関に転籍者が過度に集中することを避けるため、都市部への転籍者の数を制限する。都市圏である東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県(※人口の少ない市町村は除く)を指定区域とし、指定区域外から指定区域内に転籍する者の割合が6分の1を超えないようにする。ただし、転籍先が優良な育成就労機関と認められる場合は、規定を超える人数であっても可能とする。

受入れ人数枠のイメージ(有識者検討会資料より引用)
就労開始までに技能の習得に必要な日本語(A1相当)を習得できていない外国人については、入国後に最低100時間以上(※要件により異なる)の日本語教育を実施することとした。講習では、日本語教育機関認定法による登録を受けた登録日本語教員による教育も認める。
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