厚生労働省は9月26日、2024年における外国人技能実習生の雇用事業場に対する監督指導結果を公表した。これによると、労働基準関係法令違反が認められた事業場は、技能実習生では監督指導を実施した1万1355事業場のうち73.2%に当たる8310事業場に上っている。このうち建設業では2147事業場で監督指導が行われ、79.9%に当たる1716事業場で違反が確認された。
一方、特定技能外国人を雇用する事業場への監督指導は5750事業場で実施。その76.4%に当たる4395事業場で違反が認められた。このうち建設業では876事業所で監督指導が行われ、81.1%に当たる710事業場で違反が判明した。

監督指導と違反の状況(技能実習生)
同調査は、外国人技能実習生または特定技能外国人を雇用する事業場に対して行った監督指導(立入調査)や送検などの状況について取りまとめたもの。法令違反を是正しないなど重大かつ悪質な事案に対しては厳正に対処するとしている。
割増賃金の未払いが最多
建設業での主な違反を見ると、技能実習生に対しては「割増賃金の支払」500件(23.3%)、「使用する機械などの安全基準」444件(20.7%)、「健康診断結果についての医師などからの意見聴取」407件(19.0%)が多くを占めた。特定技能外国人についても、「割増賃金の支払」214件(24.4%)、「健康診断結果の意見聴取」181件(20.7%)、「使用する機械などの安全基準」148件(16.9%)などの違反が目立った。
建設業の事例では、技能実習生5人の賃金が最低賃金額未満、1週間で40時間を超える時間外労働に対する割増賃金が未払い、年10日以上の年次有給休暇が付与された技能実習生について5日分の時季指定義務違反などが発覚し、是正勧告を受けた。これに対して事業者は、最低賃金額以上の労働契約に見直すとともに、過去の最低賃金と割増賃金の不足額合計約8万円を支払う対応を行っている。
また特定技能外国人に対しては、労使協定がないまま賃金から家賃や光熱費、工具代を違法に控除、特定技能外国人のみに特別手当が適切に支払われていないなどの違反があった。これに対して事業者は、割増賃金の不足額約12万円を支払うなどの対応を行った。
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