出入国在留管理庁と厚生労働省は9月17日、特定技能制度および育成就労制度の運用方針について議論する有識者会議を開き、両制度の「上乗せ基準案」を提示した。上乗せ基準は、全分野共通の基準に加えて、分野別の基準を設けるもの。建設業では、事業者の範囲の限定、受入れ人数の上限、労働条件、人材育成、受入れ事業実施法人への加入の項目で、基準を上乗せする方針だ。
新規要件に監督処分の有無
このうち特定技能制度では、5年以内に建設業法に基づく監督処分を受けていないことを新たな基準として追加する。また、従来の上乗せ基準で特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数について、「特定技能所属機関の常勤職員の総数を超えないこと」としていたが、優良な特定技能所属機関に限り、職員の総数を超えることを認める。
育成就労制度についても同様に、監督処分を受けていないことを条件とし、優良な所属機関に限り、受入れ人数の上限に関する優遇を適用する。その他の上乗せ基準については従来の基準を引き継ぐ。

建設分野での主な上乗せ基準(案)
待遇向上案では「昇給率適用」
また同会議では、育成就労制度における本人意向による転籍の制限案についても示された。育成就労の転籍要件については、転籍が認められる期間を「1年以上2年以下の範囲内(原則1年)」とすることが基本方針として定められているが、建設業では業務内容を踏まえて制限期間を2年とする案を提示している。
同一の受入企業で2年間就業させる理由として、必要な技能の習得や日本語でのコミュニケーション能力向上に時間を要すること、高所作業や重機操作などの危険な作業が日常的に行われているため安全衛生教育を行う必要があること、建設工事の施工期間は1年を超える場合があり、継続して技能を習得する必要であることなどを挙げた。
また人材確保の観点からも、施工期間の途中で育成就労外国人が入れ替わることは好ましくないとし、都市部に比べて地方部の離職者率が高いことから地方部での人材定着が必要であると説明している。
一方、1年を超えて転籍を制限する場合に求められる待遇向上策については、建設分野における昇給率を毎年設定・公表し、育成就労外国人の2年目の昇給にその率を適用させる方向で調整している。
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