建設産業専門団体連合会(建専連)は、2024年度の委託事業として実施した「働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果報告書」(PDF)の中で、職種別のヒアリング調査結果を報告している。工務店では3社が対象となり、新入社員の募集や、外国人労働者の雇用状況などについて話した。
大工志望の人材を求めて
新入社員の対象については、A社では農業高校、普通高校、専門学校、大学卒などを中心に募集を実施。以前は大工の職業訓練校にも声を掛けていたが、在学生が減ったため取りやめたという。一方、B社では新卒採用は行わず、中途採用のみを実施している。
若手人材を集める工夫では、A社では中高生を対象とした建築関係の合同説明会に参加。これまでに「大工になりたい」という高校生と出会い、採用にもつながった。B社では、無料求人誌への掲載を通じて採用したケースがあった。C社では、高校への求人票の提出や出前授業の実施、地域のイベントへの参加などにより、地域での認知度向上を図っている。
新規採用した社員の定着度については、A社は17人中2人が離職。B社では離職率が高く、入れ替わりが激しい状況にあるという。「工務店に入ってくる若い人材は独立を目指すため、定着してもらうためには魅力的な環境を提供することが必要」だと話している。C社では、直近3年間での採用者3人全員が定着。適性の見極めのために2週間の長期インターンシップを実施することで、入社後の離職率低下につなげた。
外国人雇用に向けCCUS登録も
外国人労働者の雇用では、B社で9月からインドネシア人2人の受け入れを予定。管理団体は知り合いのとび職に紹介してもらった。実習生には会社近隣に寮を用意し、1人1部屋を提供。自転車などを貸し出す予定だ。これまで建設キャリアアップシステム(CCUS)には登録していなかったが、実習生を受け入れるために登録を進める。
その他の取組では、A社は技能者の正社員化と、生産性向上のためにCADの導入や業務のシステム化を進めている。B社では、大工を単なる作業員としてではなく棟梁として育てる方針を掲げ、「棟梁と会社が協力して建てる」という考えを重視している。C社では生産性向上のため、SNSを活用して各自の仕事内容を共有。休む人がいても誰かがフォローできる体制を整えた。品質管理もなるべく遠隔でできるよう工夫している。
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