特定技能制度および育成就労制度の分野別運用方針についての議論が、出入国在留管理庁と厚生労働省が5月20日に開いた有識者会議で始まった。両制度の受け入れ見込数や特有の事情への措置、育成就労制度における本人意向転籍に関する事項などについて、今後検討が行われる。分野別の運用方針の決定は12月を予定している。

方針決定等のスケジュール案
際立つ建設業の人手不足
両制度の基本方針では、国内での人材確保や生産性向上に取り組んでも、なお深刻な人手不足が続く場合に、その分野の存続・発展のために必要な範囲で外国人の受け入れを行うこととしている。
対象分野は、特定産業分野が19分野、育成就労産業分野が17分野で、建設分野や林業分野、木材産業分野も含まれる。このうち建設分野では、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3業務区分で受け入れを行う。育成就労産業分野の就業期間は3年間とし、その期間内に外国人が該当分野の技能を修得することを前提とする。
なお、人手不足の深刻さを示す有効求人倍率(2024年10~12月)は、「建設業」(5.48)、「自動車整備」(5.29)、「宿泊」(4.83)、「造船・舶用工業」(4.63)、「航空」(4.50)、「介護」(4.32)などとなっており、「建設業」が最も高くなっている。
基礎ぐいなどで技能試験を整備
建設分野の業務は、「建築」は建築物の新築・増築・改築・移転・修繕・模様替え、「ライフライン・設備」は電気通信・ガス・水道・電気などのライフラインおよび設備の整備・設置・変更・修理、「土木」は土木施設の新設・改築・維持・修繕。
対象職種はこれまで25職種・38作業だったが、今回新たに基礎ぐい工事、鉄筋継手(圧接)、電気設備施工、電気通信工事、管路更生の5技能を「主たる技能」に追加し、育成就労評価試験(初級・専門級)の整備を行う。このうち基礎ぐい工事については、2026年度以降に評価試験の新規作成を行う予定となっている。
さらに今後、育成就労制度における本人意向転籍について、転籍制限期間とその理由、1年を超える転籍制限期間を設定した転籍元への待遇などの項目で議論を深める。
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