日本政策金融公庫が2月21日公表した「中小企業における外国人雇用に関するアンケート」の結果によると、外国人を雇用している企業は全体の17.9%で、建設業では13.3%が外国人を雇用。外国人を雇用していない企業のうち、「雇用してみたい」は3.5%にとどまり、「良い人に出会えれば雇用してもよい」(39.9%)、「ほかにどうしようもなければ雇用する」(10.6%)、「雇用するつもりはない」(46.0%)など、消極的な意見が多くなっている。
その一方で、すでに外国人を雇用している企業の30.7%は外国人従業員について「満足している」、36.5%は「やや満足している」と回答。「今よりも増やしたい」と回答した企業は、技能実習生では26.3%、正社員では31.8%に上るなど、雇用経験のある・なしで外国人従業員への印象が大きく異なっている。

外国人雇用の満足度(資料より引用)
雇用している外国人の国籍は、技能実習生では「ベトナム」(54.7%)が最も多く、約半数を占めている。次いで「インドネシア」(28.7%)、「フィリピン」(11.0%)の順となった。正社員では「ベトナム」(39.1%)、「中国」(31.2%)、「インドネシア」「フィリピン」(各12.6%)の順となっている。
外国人従業員に任せている仕事の難易度については、技能実習生では「難しくはないが、多少の訓練や慣れが必要な仕事」が67.8%で最も多く、「入社してすぐにできる簡単な仕事」は17.5%、「ある程度の熟練が必要な仕事」は13.0%、「高度な熟練や専門的な知識・技術が必要な仕事」は1.7%となった。難易度や熟練度が高い仕事については、技能実習生よりも正社員に任せる割合が高くなっている。

外国人従業員の仕事の難易度(資料より引用)
人柄と日本語能力を重視
外国人を採用する際に何を重視するかについては、「人柄(主体性、チャレンジ精神、協調性など)」(77.8%)、「日本語能力」(75.2%)との回答が7割を超えた。また、採用時の工夫については、「賃金水準をアピール」(28.7%)、「福利厚生をアピール」(23.2%)、「自社の技術力や成長性をアピール」(19.6%)が上位となった。
日本人従業員と外国人従業員のコミュニケーションについては、72.7%が「取れていると思う」と回答。うまくコミュニケーションを取る工夫として、「わかりやすい日本語を使う」(50.8%)、「交流できるイベントを開催」(47.5%)、「自動翻訳機や翻訳アプリを活用」(26.2%)、「チャットツールを活用」(20.8%)などを挙げた。
同調査は、創業が2019年以前の法人1万6000社(回答:3948社、回答率:24.7%)を対象に2024年9月から10月にかけて実施したもの。建設業はこのうち19.9%を占めている。
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