ジェクトワン(東京都渋谷区)はこのほど、空き家を個人で所有している全国の男女350人を対象に実施した「空き家トラブル・管理リスクに関する調査」の結果を発表した。
空き家を所有者・親戚などが管理している332人を対象に、手入れする頻度を聞いたところ、「月1回以上」(月に複数回(27.1%)・月に1回程度(32.2%))が全体の約6割(59.3%)を占めた。一方、残り4割は管理頻度が低く、「2~3カ月に1回程度(19.3%)」から「1年に1回程度(3.9%)」「それよりも少ない頻度(3.0%)」まで、実質的に放置状態にある空き家も少なくないことがわかった。

手入れ内容については、「換気(58.1%)」「草木の手入れ(57.2%)」が多く、「清掃(53.9%)」「施錠の確認(45.5%)」「建物内側の確認や修理(44.6%)」が続いた。“草木・清掃・空気の入れ替え”といった日常的なメンテナンスが中心となっている。
トラブル経験は4人に1人
空き家に関するトラブルの経験がある所有者は、全体の約4人に1人(23.7%)だった。トラブルの内容で最も多かったのは「雑草・庭木・植栽」(26.5%)に関するもので、「枝が隣家まで伸びていた」「庭の草木が手入れされていなかった」ことで苦情を受けるなど、日常的な手入れ不足が近隣住民との摩擦を引き起こしている実態が浮き彫りとなった。
次いで「不法侵入・空き巣・治安面」(16.9%)および「建物・設備の破損」(16.8%)が続き、老朽化による劣化が進んでいる様子がうかがえる。そのほか「近隣トラブル・苦情」(12.0%)、「害虫・害獣」(10.8%)、「ゴミ・不法投棄」(9.6%)といった生活環境や衛生面に関わる被害も一定数見られた。

困りごとは手間と経済的負担
空き家管理において実際に困っていることを聞いたところ、「固定資産税がかかり続けること」(32.9%)が最も多く、次いで「管理の手間がかかり続ける」(19.7%)、「管理維持費用がかかり続ける」(18.6%)、「解体費用・リフォーム費用がかかる」(17.7%)が続いた。悩みの中心は「手間」であり、「経済的負担」が大きいことがわかる。
一方、安全面に関する「空き巣・不法侵入のリスク」(12.9%)、「放火・火事のリスク」(10.9%)は、所有者がリスクとして認知(それぞれ33.4%、32.6%)しているものの、実際の被害経験は相対的に低く、“将来的な不安”として捉えられている傾向がうかがえる。
困っていることが「特になし」は17.1%で、何らかの困りごとを経験している所有者は8割以上にのぼる。また、4割が所有している空き家が「どちらかというと負債になっている」「負債になっている」と回答している。

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