国土交通省は8月4日、2025年度の「空き家対策モデル事業」の採択事業(PDF)を公表した。今回は137件の応募のうち49件を選出している。前年度に続き、AIを活用したアイデアを盛り込んだ事業が目立った。採択事業者は、調査・計画策定にかかる費用(定額)、改修工事・空き家の除却工事・除却後の土地整備に要する費用(経費の3分の1)の支援が受けられる。
医療の問診・処方をヒントに
テーマ(1)「官民連携による独創的な空き家に関する相談対応の充実」では7件を採択。「AI問診によるワンストップ空家対策相談支援事業」(ネクスト名和、岐阜県岐阜市)では、医療の問診・診断・処方の流れを参考に、空き家相談の受付と購入者のマッチングを行うWebプラットフォームを構築する。高齢者向けにWeb入力などの支援も行う。
①空き家の所有者・相続予定者がWeb上で物件情報などを入力、②AIが売却・賃貸・管理・解体などの指針や具体的な手法を説明、③地域事業者を紹介―といった一連の流れで空き家の相談に対応。診断結果をPDFにまとめることで、紹介先でのたらい回しや重複聞き取りを防ぐ。
他に、「自治体LINE及び終活診断チャートを活用した空き家発生未然防止事業」(大阪空き家相談センター、大阪府守口市)などが採択された。

テーマ(2)「空き家に関連する新たなビジネスモデルの構築」では23件を採択。「“空き家からつなぐ”すかがわ廃材プロジェクト」では、老朽化により解体された空き家の廃材や不要家具を利活用し、解体費用の一部を補填。空き家所有者の金銭的負担を軽減する。解体時に発生する木材、ガラス、家具、建具、金属部材などをそのまま再利用するだけでなく、家具や雑貨、インテリアなどに加工して付加価値を高める。
他に、「BIMで実現する『建物カルテ』による空き家活用促進事業」(北山建設、福井県敦賀市・他)などが採択された。
実習生の受入に空き家を活用
テーマ(3)「新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用」では19件を採択。「空き家データ×企業×実習生による多文化共生型居住モデル事業」(あいち空き家修活相談センター、愛知県豊田市)では、外国人技能実習生の住環境の確保と空き家対策を官民連携によって同時に解決。空き家となる兆候がある物件を抽出し、外国人実習生を受け入れている企業に対して利活用を提案する。改修費用を受入企業が負担することで、公的資源に依存しないモデル構築を目指す。
他に、「地域一体型『地下海水』を活用したワンストップ空き家モデル事業」(そらまめAgriculture and Fisheries、茨城県稲敷郡)などが採択された。
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