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世は“大相続時代”。相続問題に直面する人は増え、特に住宅(不動産)の扱いは悩みどころ。しかし住宅が本業の工務店にとっては、相続は新たなビジネスチャンスを得るきっかけになるはず。6月27日に新建ハウジングが開催した相続活用入門セミナー「“相続”支援を新たな強みに!」から、相続コンサルタントとして活動しながら、住宅事業でも実績を上げているデザインライフ社長・杉村洋介さんの講演内容をダイジェストで紹介する。
新たな受注の切り口として「相続」を捉える
相続した資産を「どうしたいのか」 意向を抽出し提案できる存在が必要
日本は今、3.5人に1人が高齢者だ。これでも多いと思うだろうが、実は高齢者人口は2043年前後がピークだと言われている。相続市場はますます伸びていく。また、1年間で亡くなる方は約160万人。すなわち年に160万回相続手続きが発生している。相続される資産額も年間50兆円規模で、大変大きな市場だ。
相続資産の半分は不動産だと言われている。不動産の存在によって、相続税や遺産分割の問題も多発する。2040年には720万haになるとされている所有者不明の空き家・土地は、環境の悪化や公共工事の阻害など、社会問題に発展しやすい。そのため昨年、所有者だけでもはっきりさせようと、相続登記が義務化された。
ここまでの話は死後のことだが、そもそも相続相談は生前からいろいろと発生している。70~80代の親を持つ、つまり今後相続に直面する50代以上(日本の総人口の半分以上を占める年代)からの相談は多い。また、65歳以上の4人に1人は認知症患者の予備軍。意思能力の問題も相続相談の契機になる。
相続は士業に任せてしまえばいい、という傾向も伺えるが、なぜ(士業ではない)私が10年以上も相続コンサルタント事業を続けられているのか。相続について相談したい人々は、資産の現状を理解していないことが多い。相続コンサルタントは、詳細なヒアリングによって現状を把握した上で、現状に基づいて問題を提起する。それに対して相談相手がどうしたいのか、意向を抽出して始めて、具体的な対策の話になる。
一方、士業が担うのは特定の専門的な手続き。対策が決まって手続きが発生してからが出番だ。住宅・不動産の専門家が相続をビジネス化しようと思ったら、ヒアリングから問題提起・対策の提案ができなければいけない。不動産があって相続登記をする前に、活用するのか処分するのか、建物を解体するのか、処分するならいくらで売れるのか―相手の意向を把握した上で対策を提案し、その後で必要なら士業に登場してもらい、相続登記の手続きを進める。相談者は本来それを求めているのではないか。
私たち相続コンサルタントは、現状把握から問題提起、対策の提案までを主導し、総合的な問題解決をリードする存在であり、必要な士業との窓口を担う存在だ。法律に詳しい士業も必要だが、相続に関する問題を総合的に解決できる存在として、相続コンサルタントが求められている。
三浦が聞く!工務店の相続ビジネスの可能性
セミナー後半では、杉村さんの話を受けて新建ハウジング発行人・三浦祐成が、工務店にとっての相続ビジネスの可能性や取り組みについて聞いた。
三浦 相続の50%が不動産である一方、扱える人が少ないからこそ工務店がやるべき?
杉村 不動産は、特定の手続きに関わる士業にとってマネタイズしにくい分野。複数の側面でマネタイズできる存在が相談の窓口になりやすい。工務店は解体、リフォーム、建て替えなど幅広くマネタイズできて、受注にもつなげやすいはず。
三浦 工務店が相続コンサルタントになるとして、担当はどんな職種がいい?どんな能力が必要?
杉村 まずは営業、あるいは経営者や幹部がブランディングも兼ねて相続相談に対応できるようになるといいのでは。スキルとしてはやはり・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号10面(2025年7月20日発行)に掲載しています。
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