【新連載】機能的で美しい構造と説得力あるデザインの考え方＆手法

「肉は骨についている」 。私が設計で一番大切にしている言葉です。デザインは「見た目」だけのものではありません。その裏側にある「理由」によって成り立っていなければ、美しくありません。

本連載では、デザインを形づくる本質の中から「構造」に着目。より機能的で美しい構造、説得力のあるデザインを生み出すための考え方と手法を紹介していきます。

「どうしてそのデザインがしっくりきているのか？」「どうしてあのデザインは美しいのに、このデザインは美しくないのか？」この連載では、そんな疑問に対して視覚的要素に留まらずコンセプト、機能性、コストなども踏まえた“デザインを支える構造”からアプローチしていきます。

鈴木 淳 すずき・じゅん ネイティブディメンションズ一級建築士事務所 主宰

1973年新潟市生まれ。数寄屋建築、ツーバイフォー工法、接合金物工法などの設計経験を経て2008年に独立。構造・温熱・意匠を一体化した「小さい家」の設計が強み。2018年には地元建築事業者とともに勉強会「住学（すがく）」を共同創設。以降、得意分野を生かしたコラボやサポートなども手がける。 現在、新潟県建築士会新潟支部支部長、新木造住宅技術研究協議会（新住協）新潟支部副支部長も務める。昨年7月には、待望の孫が生まれおじいちゃんになる。

Chapter 1
宙に浮かぶロフト

私は普段小さい家の設計を専門としています。「収納スペースの確保」と「空間を広く見せること」は小さい家を設計する上で必ずぶつかる悩みです。その両方をカバーしてくれるのが、『宙に浮かぶロフト』です。

収納スペース確保のためロフトをつくることは定番の手法になりますが、「ロフトは使いにくい」というのは設計のあるある。そこで、使い勝手を良くするため、2階から手が届くくらいの高さまで下げました。低く抑えた分だけ、ロフト下の空間には圧迫感が出ます。

なので、ロフトが床から浮いているように見せて軽さを出そうと考え、横幅5460㎜のロフトを直下の柱からすべて455㎜オーバーハングさせています。

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［図］力の流れを整えることで構造を成立させる

構造的視点から語ると、棟木を受ける束の直下に柱がないと束や梁が下がってしまうイメージがあるかと思います。

収納スペース確保のためロフトをつくることは定番の手法になりますが、「ロフトは使いにくい」というのは設計のあるある。そこで・・・

この記事は新建ハウジング5月10日号16面（2025年5月10日発行）に掲載しています。

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