大和工務店(岐阜県関市)は、厚さ30㎜の杉厚板を梁に直張りする新工法について、日本住宅・木材技術センターの性能認証を取得した。認証では床倍率0.3〜2.0の範囲で5仕様が評価され、最大値は2.0倍を記録。これにより、無垢材を用いた床・屋根構面を構造計算に正式に位置づける道が開かれた。第1号物件は岐阜市内で上棟し、耐震等級3を取得済みで、年内の竣工を予定する。同社は施工要領を整備したうえで全国の工務店に技術を提供し、地域材活用の拡大につなげる考えだ。【編集部 峰田慎二】

岐阜県立森林文化アカデミーでの耐力試験に供した厚板床試験体
新工法は、厚さ30㎜・幅135㎜・長さ2〜6mの杉厚板を梁に直張りする剛床仕様。床板の長辺には本実加工を施し、二又ステープルを等間隔に打ち込むことで板同士のかみ合わせを確実に固定。さらに梁との交差部はCN90釘3本で緊結し、面全体に水平方向の力を伝達する仕組みとした。
性能試験では、梁間隔910㎜および1365㎜の条件やステープルの施工ピッチによって床倍率が0.3〜2.0の範囲で変動することを確認。設計上の用途や必要性能に応じた仕様選択が可能となり、無垢材のみの床構面を構造計算に組み込める新たな仕様が整備された。
木造住宅の床構面は、かつて厚さ12〜18㎜の板を根太に張る野地板仕様が主流だった。施工性に優れる反面、水平方向の剛性は低く、火打ち材の設置が不可欠で、床鳴りや反りの発生もしばしば課題となっていた。
その後、1980年代後半以降には厚さ9〜12㎜程度の構造用合板が普及し、2000年代には厚さ24〜28㎜の合板を梁や大引に直接留め付ける根太レス剛床工法が、建築基準法改正を背景に一般化した。構造用合板はJAS規格によってせん断性能が数値化され、壁倍率や床倍率として設計に反映しやすかったことに加え、大工手間の削減、床剛性の確保、法改正対応といった要因が重なり、普及が加速した。
一方で・・・
この記事は新建ハウジング9月30日号2〜3面(2025年9月30日発行)に掲載しています。
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