既存マンションにおけるZEH改修が居住者の快適性や健康性に与える影響を科学的に検証するため、東京建物(東京都中央区)、YKK AP(東京都千代田区)、慶應義塾大学の三者が共同で実証実験を行った。実験は、東京建物が開発・保有する築20年の賃貸マンション「Brillia ist東雲キャナルコート」(東京都江東区)内の住戸に被験者が宿泊。温湿度やバイタルデータの比較を通じ、ZEH改修による快適性や健康性への影響を可視化することを目的としている。
具体的にはZEH基準に適合させた改修住戸(断熱性能等級6・一次エネルギー消費等級6)と、通常改修のみを行った住戸(断熱性能等級4・一次エネルギー消費等級4)を用意、被験者を一定期間交互に宿泊させる。その上で室内の温湿度や窓・躯体の表面温度、消費電力などの環境データに加え、血圧・脈拍・睡眠時の活動量などのバイタルデータを収集・分析、効果を客観的に検証するというもの。
夏季の室内環境計測は8月18~23日にかけて実施され、被験者入居計測は8月25~9月6日に実施された。また、冬季の計測は今後改めて行う予定だ。なお、今回の夏季実験では各種データの取得が行われたが、現時点では結果の分析・報告は行われていない。今後、冬期の実験と合わせ、総合的な検証結果が発表される見通しだ。
慶應義塾大学の川久保俊准教授は、既存住宅のZEH改修に関してはまだ事例も少なく、「認知」と「体感価値」の可視化において課題が残っていると指摘。「本実証実験で、在宅ワーク時の集中力の継続などについて科学的データに基づく効果が裏付けられ、可視化することで、既存住宅のZEH改修の普及に弾みをつけられれば」と述べている。

室内環境計測の様子

ZEH改修住戸の赤外線サーモグラフィー画像
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