自社工場で丸太から製材する、厳選した天然乾燥の無垢材と、それを手刻みで加工して適材適所で使いこなす社員大工の高い技術力を武器とする沢野建設工房(石川県かほく市)は、明治16(1883)年創業の長い歴史を誇る老舗工務店だ。四代目で現会長の澤野利春さんが磨き上げた一気通貫の自社体制による家づくりを継承した五代目・社長の幸樹さんは「住まい手の健康を守る、他に類のない唯一無二の“本物の健康住宅”として広げていくことが自分の使命だ」と決意を語る。【編集部 関卓実】

墨付け・手刻みの加工技術と木の目利き力を備え、常に学び合い教え合いながら高みを目指す社員大工が同社の家づくりを支えている
同社は、製材から墨付け・手刻みによる家づくり、家具・建具制作に至るまで内製化。合板や集成材を使用せず、構造材から羽柄材、仕上げ材(内・外装材)、家具・建具の材料に至るまで天然乾燥の無垢材を用いる「化学物質を出さない、生涯にわたって真に住まい手の健康を守る家づくり」を、ぶれずに貫く。
幸樹さんは「天然乾燥の無垢材も社員大工による伝統的な技術も決して“自己満足”でやっているわけではなく、全ては健康的な空間を創出するために必要不可欠な手段だから実践している」と言い切る。会長の利春さんも「“こだわり”という言葉があまり好きではない。こだわっているのではなく、代々受け継がれてきた当たり前のことを自然に続けているだけ」と話す。
無垢材の効能を最大化
住まい手が直接触れる内装材だけでなく、構造材や下地材など壁で隠れてしまう箇所や家具・建具まで無垢材を用いることにより、「抗菌・殺菌作用や調湿・消臭など木が健康に及ぼす効能を最大限に発揮することができる」という。
同社では顧客に対して「木の“香り”を住まい選びの基準にしてほしい」とすすめる。幸樹さんは「もはや高断熱・高気密は当たり前で性能は選択の基準にならない。むしろ・・・
この記事は新建ハウジング8月10日号2・3面(2025年8月10日発行)に掲載しています。
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