WHALE HOUSE(ホウェールハウス、兵庫県神戸市)は8月21日、直近5年以内に木造注文住宅を購入、建てた経験がある1008人を対象に実施した「地震後の在宅避難と住宅性能」に関する調査結果を発表した。災害時の避難場所について聞いたところ、60.2%が「在宅避難」を希望しているものの、現実には約半数の49.0%が「避難所」を選択すると回答。理想と現実のギャップが浮き彫りとなった。

「在宅避難」の選択理由は、「落ち着いて過ごしたい(59.3%)」が最も多く、「プライバシーが保たれる(57.5%)」「家族全員(子ども・高齢者・ペット)と一緒にいられる(52.8%)」が続いた。一方、「避難所への避難」では、「自宅の倒壊・火災への懸念(44.3%)」「備蓄(食料・水など)が不十分(34.3%)」「防災知識がなく避難所の方が安心(31.8%)」が上位を占めた。
在宅避難を希望する人は生活の継続性と心理的な安定を重視しており、避難所を希望する人は自宅の安全性に対して不安を感じていることがわかる。特に「倒壊や火災」は生命に直結する大きなリスクとなるため、在宅避難を断念する一因となっていると考えられる。

大きな地震後、今の自宅で「安全・安心に在宅避難できる」と思う人は、「やや思う(46.4%)」「とても思う(12.5%)」をあわせて58.9%だった。約4割(全く思わない7.2%・あまり思わない33.9%)の人は自宅に不安を抱いており、たとえ耐震基準を満たしていても、継続して住むことに対して確信を持てない人が一定数いることがわかった。
「安心して在宅避難できる家」に求めることを聞いたところ、「災害後もすぐに生活が再開できる(家具や設備、構造体に被害がない)36.1%」「倒壊せず、余震でも傷まない設計であること(建物のゆがみ・傾き・接合部破損がない)47.0%」が多くを占めた。倒壊しないだけでなく、その後も居住可能であり、中長期的な避難生活を見据えた余震でも傷まない設計が求められていることがわかる。

家づくりの際、「倒壊しない」ではなく「災害時も家で過ごせるか」を考えていた人は、54.5%(やや考えていた38.5%・とても考えていた16.0%)だった。一方、「考えていなかった(全く考えていなかった10.0%・あまり考えていなかった35.5%)」人も多く、家づくりの時点では耐震性に注目が集まり、災害後も住み続けられるかという点が検討対象に入りにくいことがうかがえる。
自宅の耐震性能についての理解度は、全項目で「理解している」が過半数となり、全体的に高水準となった。これは、調査対象が直近5年以内に購入した層であることと、耐震性能に関する情報提供が丁寧に行われたことで、理解度の底上げが図られた結果とみられる。
特に「耐震等級(1~3)のレベル」は67.6%が理解していると回答。そのほか、6割前後の人が「構造材の種類と強度」「工事報告書や品質証明書の存在」「構造計算の有無」「耐力壁の配置や強度」「接合部(柱や梁のつながり)の工法」について理解していた。

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