住設資材メーカーのデンカアステック(東京都港区)は、長年培ってきた雨どい製造技術を生かし、雨水を生活用水として活用する新たな取り組みを本格化させた。第一弾として、災害時にも無電力で使用可能なトイレ洗浄用雨水タンク「PURE EDEN(ピュアエデン)」を開発。8月1日の「水の日」に合わせて発表した。
同社は、60年以上にわたり雨水の集排水に関する技術を蓄積してきた。気候変動による水不足や、地震・豪雨といった災害の頻発を背景に、雨水を“捨てる水”から“活かす水”へと転換する社会インフラの構築を目指している。
「PURE EDEN」は、家庭用水の約2割を占めるトイレ洗浄水に着目し、平常時は節水、災害時には断水下でも使用可能な水洗トイレを実現する。壁面設置型で狭小住宅にも対応し、100リットルの貯水が可能。雨が降れば再び貯水できる仕組みで、福井工業大学の笠井利浩教授との共同開発による水質維持機能も備える。
災害時におけるトイレ問題にも
災害時のトイレ問題は深刻で、仮設トイレの不足や衛生環境の悪化、感染症リスクの増大が指摘されている。また、プライバシーや安全面でも大きな課題がある。同社はこうした社会課題に対しても、雨水活用による解決策を提示する。
今後は、洗濯や風呂などへの用途拡大、さらにはIoTを活用した雨水管理システムの開発も視野に入れる。都市型浸水や内水氾濫への対策製品の開発も進めており、雨水をインフラ資源として活用する“水循環の専門企業”としての地位確立を目指す。
2021年にデンカ株式会社から分社化された同社は、樹脂製・金属製の両方の雨どいを手がけるメーカー。今後も持続可能な社会の実現に向け、雨水の利活用を軸とした製品開発を加速させていく。

雨水利活用タンク「PURE EDEN(ピュアエデン)」
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