国土交通省は7月18日、2025年度「優良木造建築物等整備推進事業」第1回募集で、先導枠・普及枠のプロジェクトとしてそれぞれ2件、合計4件を採択した。今回、三井不動産の「(仮称)日本橋本町1丁目5番街区計画」(東京都中央区)などが選ばれた。三井不動産のプロジェクトでは、住宅用の流通木材をテナント用として活用することを特徴としている。
同事業の先導枠は、木造化に係る先導的な設計・施工技術を導入するプロジェクト、普及枠は中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクトを対象としている。普及枠では6月18日時点で、15件の事業がすでに採択されている。

左:(仮称)日本橋本町1丁目5番街区計画
右:(仮称)西松サステナブルグリーンプロジェクト
今回、採択されたのは以下の4プロジェクト。

「西松サステナブルグリーンプロジェクト」は5階建ての大学施設で、北海道の国産スギ・ヒノキ構造用集成材を用いた二方向ラーメンと鉄骨を組み合わせたハイブリッド構造を採用。木製梁の端部を炭素繊維で補強するほか、CLT面材と高減衰ゴムダンパーによる制震壁を用いて耐震性を確保する。カーテンウォールは木造架構を現しで仕上げ、ダブルススキン構造により熱気や湿気を排気口から排出する。
西松建設は2024年3月に、東京大学大学院農学生命科学研究科と共同研究契約を締結しており、同校が所有する鴨川市の千葉演習林の森林資源などを活用し、木造建築物の社会実験型実証研究を行う計画だ。今回のプロジェクトにおいても、構造・温湿度モニタリング、遮音測定などを行い、成果を学会で発表する予定。
「日本橋本町1丁目5番街区計画」では、11階建て事務所ビルの上4層を木造化。2~7階は外壁にCLT耐震壁を配置する木造・鉄骨造混構造、8~11階は木造耐力壁構造の立面混構造を採用する。上層4階の木造部分には住宅用の流通木材を活用する階高4.05m×スパン6mのテナント向け架構を提案した。他に住宅用に開発された木造床システムに改良を加え、防火性や遮音性、防震性などを高めてテナントビル仕様とする。
普通枠で提案を追加募集
同省では、8月29日まで普通枠の第2回提案を募集している。▽主要構造部に木材を一定以上使用すること▽共同住宅・事務所は階数4以上、非住宅は階数3以上、または延べ面積3000㎡以上であること▽ZEH・ZEB水準に適合すること▽再造林または再利用に資する取組を行うこと―などを要件としている。
補助率は、「調査設計費」が木造化費用の2分の1以内、「建設工事費」が木造化の掛増し費用の3分の1以内、または建設工事費の7%以内。補助上限額は2億円。応募は同事業の公式サイトまで。
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