政府は7月1日に開いた中央防災会議で、南海トラフ地震の防災対策基本計画を改正。3月に公表した被害想定の更新を踏まえて、新たな「今後10年の減災目標」を設定した。想定される死者数は約29万8000人から8割減、建築物の全壊焼失棟数は約235万棟から半減させる目標を掲げた。具体的に実施すべき主な対策を48項目から205項目に増やすほか、防災対策推進地域に16市町村を追加することで対策を強化する。

実施すべき主な対策(一部抜粋)
塩尻市などを防災推進地域に
3月に公表された被害想定では、太平洋側を中心に震度6弱以上または津波高が3mとなる市町村が、31都府県の764市町村に上ると想定。これに伴って著しい地震災害が生じるおそれがある防災対策推進地域として、神奈川県綾瀬市、長野県塩尻市・王滝村、長崎県長崎市・佐世保市・諫早市・平戸市・五島市・西海市・雲仙市・新上五島町、熊本県熊本市・氷川町、大分県日田市・玖珠町、沖縄県今帰仁村を追加した。
指定を受けた都府県市町村、および不特定多数の者が出入りする施設の管理者・運営者は、「南海トラフ地震防災対策計画」の作成が義務付けられる。

南海トラフ地震防災対策推進地域
2035年までに耐震化を
主な対策のうち、強い揺れおよび火災被害への対応では、建築物全体の耐震化に加え、ライフライン施設やインフラ施設の機能の維持・強化を併せて推進。震源域から離れた地域に立地する高層建築物の長周期地震動への対策やまちづくりと連携した地震対策が盛り込まれた。耐震性が不十分な住宅・建築物については、補助制度の活用により耐震診断、耐震改修、建替えを促進する。
大規模地震時でも倒壊しないための耐震性の確保については、住宅は2035年までに、不特定多数が利用する大規模建築物では2030年までに、それぞれおおむね100%の達成を目指す。他に、住宅用火災警報器の設置を2035年までに、著しく危険な密集市街地における感震ブレーカーの設置を2030年までに完了させる計画を打ち出した。

住宅関連の主な数値目標
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