国土交通省はこのほど「住生活基本計画(全国計画)」の変更素案(PDF)を公表し、2026年1月15日までパブリックコメントを募集している。2月に開かれる住宅宅地分科会での審議を経て、3月に閣議決定する予定だ。計画期間は2026年度から35年度までの10年間となっている。
これまでの計画では、新築住宅の質向上や良質なストックの形成に重点が置かれてきたが、新たな計画では生産年齢人口の減少や高齢単身世帯の増加などを背景として方向性を転換。「住まうヒト」「住まうモノ」「住まいを支えるプレイヤー」が大きく変化する時代を見据えて、住宅ストック価値の最大化や「人生100年時代」に向けた住生活基盤の再構築を進める。併せて、住宅建設技能者の担い手確保・育成にも注力する。

住宅政策の変遷と今後の方向性
大工の処遇改善など推進
このうち「住まうモノ」に関する施策では、▽長期優良住宅・高い省エネ性能を有する住宅など良質な住宅への支援▽耐震改修・省エネリフォーム・バリアフリーリフォームの促進▽性能向上を伴う部分的リフォームの普及▽将来世代に継承する住宅ストックの供給・流通の促進▽空き家対策の推進▽持続可能で活力のある住宅地の形成と居住誘導の推進▽災害に対応した安全な住宅・住宅地の形成―などを挙げた。
「住まいを支えるプレイヤー」に関する施策では、住宅建設技能者の担い手確保・育成に向けて、住宅建設技能者の社員大工化の促進や女性・外国人技能者を含めた担い手の拡大、入職・定着の促進と処遇改善、災害発生時への対応と技能の向上などを盛り込んだ。他に、畳・襖・瓦・土壁・漆喰などを利用した「和の住まい」の推進、DX推進による建築分野の生産性向上なども目標として掲げている。
また、それぞれの視点について2035年時点の成果指標を設定。「住まうモノ」の視点では、住宅ストックの平均省エネ性能(BEI)を1.0とすることや、既存住宅取引・リフォームの市場規模を19.7兆円にすることなどを目標として掲げている。
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