「『(顧客は)何のために注文住宅を建てるのか』『自社の存在価値とは何か』。こうした問いに真摯に向き合い続け、同社の設計と経営をつなぐ思想の核としてきた」と話すのは、工務店・リヴアースの代表の大橋利紀氏。
同社は住宅市場の大きな変化を見据えたいま、「建築の本質から考える住宅設計」という独自の視点を打ち出している。また、こうした独自の設計メソッドをチームで進めるため、大橋氏は「感覚の言語化」と「設計の標準ルール化」に力を入れている。
建築的主題を決める
リヴアースの設計プロセスは、以下の2つのステップで構成されている。①建築的主題を決める、②建築的要素の関係性を決める。
建築的主題を決定する3つの条件は、「地所」「人」「物語」であり、これらが建物の個性を大きく左右する。
「地所」とは、敷地の特性。 太陽の動き、隣棟建物との距離、風景の抜け、地域性、文化など。
設計者がその土地に立った時の「意識の向く方向」が、建築的主題に大きく関わる。その読み取りには、観念的・感性的な部分だけでなく、物理的な温熱要素も多く含まれ、どちらかに完全に振り切ることはなく、常に行ったり来たりしながら総合的に解いていく。
「人」とは、家族それぞれの関係性、パーソナルスペースの大きさや距離、生活様式など。例えば明るい家を好むか、陰影のある暗い家を好むかも、住まう人の感性が大きく影響し、家の個性に反映される。
「物語」とは、工務店・設計事務所としての「やることやらないこと」を含め、設計に関する独自の美意識や判断基準、哲学をあらわす。
建築的要素の関係性を決める
建築的主題が定まったあとは、建築の根本要素「窓」「壁」「空間」「素材」を、互いの関係性のなかでどう構成するかを検討していく。
「窓」は、単に光や風を取り入れるだけでなく・・・
続きは「あたらしい工務店の教科書2025」P.94〜でお読みいただけます。
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