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飯田 亮 COMODO建築工房 |
COMODO建築工房・COMODO建築設計室代表、一級建築士。1979年に山形県に生まれ栃木県で育つ、45歳。栃木県内の地域工務店での修業を経て2007年に設計事務所である住空間設計LIVES(現:COMODO建築設計室)を設立。2012年に工務店としてCOMODO建築工房設立。KKB(工務店の工務店による勉強会)などでも活動 |
「建築に美を、建築に居心地を、そして建築に愛を。」を建築理念として掲げて活動している。13期目を迎えるCOMODO建築工房では栃木県内で設計・施工を行っているが、そのほかにCOMODO建築設計室として設計事業を、COMODO☆LABOとして工務店のブランディング・プロモーション支援事業を全国的に手がけている。
2011年に母親のためにつくった住宅「くの字の平屋」が自分の建築理念の原点となり、同時に“出世作”となった。これが評価されなかったら「一級建築士を返納する」ぐらいの覚悟で、何よりも魂を込め、愛を持ってつくった。高さを抑えたプロポーション、内と外をつなぎ庭の豊かな緑を美しく切り取る気持ちのいい開口、無垢の木をはじめとする自然素材の活用など、今も変わらない設計メソッドによって完成させた。
ここから、くの字の平屋に強く共鳴してくれた施主の「VermeerRay(フェルメールレイ) 」(2014年)など、住まいや暮らしへの価値観が重なる顧客との家づくりが安定的に続くようになった。くの字の平屋もフェルメールレイも“10年後の姿が完成形となる”というイメージで設計した。いずれも実際に10年の時を経たときに見てみると、熟成された土着的な、つくったときよりもさらに良い建築になったと思う。
3つのキーポイント
COMODOの設計では、より良い建築を実現するために3つのキーポイントを設けている。まず、ひとつめは「心地よさを生む」こと。空間に心地よさを生むために大事なのが「足るを知る」という考え方だ。心地よさを生み出すために“足し算”は要らない。余計な装飾を施したり、むやみに素材に着色したりする必要はない。肝心なのはバランス。心地よさは何かひとつがよければいいというものではない。点と点を結ぶ線やその線によって形づくられる面、細かく言えば壁と開口の大きさのバランスやそれぞれの縦横比、明暗差(陰影)、天井の高低差など多岐にわたる要素が織りなされて生まれる。
2つめは「風景をつくる」ということ。施主にとっての家は、他人からすれば「ただの風景」になるわけで、つくり手として風景を損なうような建築はつくりたくない。むしろ、より良い風景になるような建築をつくりたい。もちろん住宅の中から見たときは、近所の家の庭の緑にしても遠くに見える山々の稜線にしても外部の豊かな景色を“おすそ分け”してもらっている。住宅は敷地も含めて、それのみで完結しているのではなく常に街や地域と“呼応”している。
1棟の住宅に地域の風景に対する影響力があるということは、見方を変えると・・・
続きは「あたらしい工務店の教科書2025」P.23〜でお読みいただけます。
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