国土交通省は6月13日、国土交通分野のDX施策の方向性を示した「国土交通省DXビジョン」を策定した。「データ」「人材」「セキュリティ」―の3つの基盤的領域を強化し、国民の安全・安心の確保、持続的な経済成長、個性を生かした地域づくりなどの実現を目指す。
現状では、行政手続のデジタル化による業務効率化効果が低く、申請情報をデータとして活用できていないといった課題がある。さらに、オープンデータのためのスキームやツールが整備されていない、外部ベンダーへの依存によりデジタル人材の育成が遅れているといった課題も残されている。
そこで今回、DX施策を強力に推進する上で必要となる、目指すべき方向性や取組を強化すべき領域について明確に示した。

DXビジョンの基本理念
“単なるデジタル化”からDXへ
「行政サービスのデジタル化」では、紙と電子が混合した手続きや、メールやフォームによる申請など“単にアナログ情報をデジタルに変換しただけ”のデジタル化を見直す。DX化により手続きの二度手間や重複を排除し、サービスの利便性の向上を図る。
「オープン・イノベーションの推進」では、オープンデータの秘匿化ルール(個人情報・機密情報の非公開化など)を策定することで、国民がデータを活用しやすくなるよう環境を整える。「Project LINKS」(プロジェクト・リンクス)でのデータ構築など、オープンデータ化のための環境整備やサイバー攻撃に対する対処能力強化も合わせて行う。
DXを加速させるための領域横断的な連携施策も推進する。これまでの事例では、▽「Project LINKS」と市町村が保有する情報を活用した自治体職員向け「空き家推定システム」の開発▽国土数値情報と連携した「不動産情報ライブラリ」の公開▽「PLATEAU」(プラトー)との連携による地下埋設物データの標準仕様の策定―などが実現している。

横断施策による事例(資料より抜粋)
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