LVLを製造・販売するファーストプライウッド(青森県六戸町)は、5月に着工した自社敷地内での大型木造倉庫2棟を12月に竣工した。建設地の六戸町は青森県により垂直積雪量100センチメートル以上の多雪区域に指定されているが、同社は鋼材を使わない平行弦トラス構造を採用。柱のない17メートル×57メートルの大空間と軒高9.5メートル、最低天井高さ6.5メートルを確保した。

木造倉庫内観。柱無しの大空間を実現
倉庫には青森県産材を用いた製材品、LVL、集成材を使用。地域材活用や国産材利用拡大の取り組みが評価され、「林野庁の補助事業(令和6年度青森県合板・製材・集成材国際競争力強化・花粉削減総合対策事業)に採択された。使用木材はスギ約742本分の二酸化炭素貯蔵量に相当。林野庁のガイドラインに準拠し計算したところ、青森県産材361立方メートルを含む木材全体の利用量は431立方メートル、CO2換算値は375t-CO2となり、環境負荷低減にも寄与している。
環境面に加え、一般流通材のみを用いた構造により、鉄骨造と同等の建築コストを実現。2棟合わせて2900立方メートルの製品保管が可能で、屋内にトラック積み込みスペースを設けることで出荷動線の安全性と効率性を高めた。
同社グループはLVLや集成材の生産からプレカットまで一貫生産体制を構築している。中大規模の非住宅木造建築では、構造材の幅を120ミリに統一することで、建築現場での安全で効率的な組み立てを可能にした。さらに2026年からは高強度の大断面集成材「E150」の製造販売を開始し、将来的にはE170以上のJAS取得も目指す。LVLと集成材を適材適所で組み合わせることで、非住宅木造建築の普及拡大につなげる考えだ。

木造倉庫外観。柱無しの大空間を確保するバットレス(控え壁)
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