リノベーション協議会(東京都中央区)は、2025年を代表するリノベーション事例を選ぶ「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」の授賞式と選考委員による講評会を12月11日に開催。全国からエントリーされた206作品の中から、合同会社つみき設計施工社(千葉県市川市)の「人間は、つくることをやめない」が総合グランプリに選ばれた。
同アワードは、施工費別に「800万円未満部門」「1500万円未満部門」「1500万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設けている。その上でSNSを活用した一般ユーザーの反応を一次選考に取り入れ、60作品を入賞として選出。選考委員8人が最終選考を行い、総合グランプリのほか、部門別最優秀作品賞4点、特別賞15点、プレイヤーズチョイスを決定した。
総合グランプリとなった「人間は、つくることをやめない」は、プレハブ住宅「セキスイハイムM1」を対象とする参加型のリノベーション事例だ。専門家が基本性能を整えた上で、家族と100人以上の仲間が数カ月かけてDIYで仕上げた点が高く評価。選考委員長の島原万丈さんは、単に楽しいDIYリノベーションという範疇には収まらない、日本の近代住宅史に照らしても非常に示唆に富むものと講評した(下写真)。

総合グランプリ「人間は、つくることをやめない」(合同会社つみき設計施工社)
800万円未満部門は、フロッグハウスの「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」。物件は賃貸市営住宅で、対面キッチンや窓断熱、換気計画に注力したほか、住民の健康リスク低減や建物の長寿命化など暮らしと社会の双方にメリットを及ぼした点が評価された。
1500万円未満部門は、コスモスイニシアの「わたしのための、パブリックスペース」。木材の棚造作を窓際に設置することで、梁や窓枠といったマンションらしくみせるデザインを解消、和の要素を取り入れたハイセンスな内装が買取再販として実践された点が評価された。この作品はプレイヤーズチョイスも同時受賞している。
1500万円以上部門は、リノクラフトの「ガリバーを解き放て!」。2階建て木造戸建ての大規模改修で建築確認の規制強化に対応し、外壁を新たな外装材で覆うカバー工法などで築40年近い住宅を再生した先駆的な事例として評価された。
無差別級部門に輝いたのは、エンジョイワークスの「未踏の集落リノベーション、月見台住宅」だ。不動産投資型クラウドファンディングを組成し、367組の投資家が参加。まちづくりへのコミットや投資家自身のDIY参加が可能で、公民連携による地域活力維持の先駆けとして評価された。
島原氏は総評で、リノベーションの基本的役割は「住むこと」にかかわる社会課題の解決にあるが、その解法は、いつだって明るく楽しいものであり、その核に「遊び心」があると指摘。小さな「遊び心」こそが、リノベーションの未来を私たちの想像よりも少し面白くすると強調した。
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