リクルートの住まい領域の調査研究機関SUUMOリサーチセンターは、注文住宅に関する全国調査の結果を発表した。調査では、建築費の高騰が止まらず過去10年で最高値を更新した一方、検討者の68.8%が「今が建て時」と回答。特に20・30代では7割を超えた。主な理由としては「建築費・金利の上昇懸念」が挙げられている。
調査はインターネットリサーチにより実施。過去1年以内に注文住宅を建築した「建築者」1342人と、今後2年以内に建築を検討している「検討者」1378人を対象に、全国の20歳以上の男女から有効回答を得ている。
住宅のコンパクト化進む
土地代を除く全国の建築費は平均3488万円で、前年より73万円上昇した。2016年の2799万円からは約25%増加している。
土地代は平均1948万円と前年より383万円下落したが、中央値は1400万円と100万円上昇した。高額物件の減少による平均低下と中価格帯の底上げが同時に起きている特徴的な分布変化が見られる。敷地面積は平均69.9坪で、2023年の83.7坪から2年間で約13.8坪縮小した。延べ床面積も2023年の47.7坪から2025年には41.1坪と縮小しており(下グラフ)、住宅のコンパクト化が見て取れる。
建築者の世帯主年齢は平均40.4歳。世帯年収は平均957万円で、前年よりやや減少したものの、1000万円以上の世帯の割合は増加した。最多層は「600~800万円未満」で25.8%を占め、依然としてボリュームゾーンを形成している(下グラフ)。
建築時に重視された条件は「間取り・プラン」(48.0%)が最多で、「断熱・気密性」(38.8%)、「耐震・免震性」(37.8%)が続いた。予算制約により断念された項目では、「蓄電池の搭載」(16.1%)が最多、「延床面積の確保」(14.1%)が続く。「あきらめたことはない」という回答は24.6%だった。
平屋は九州・沖縄で5割超え
平屋建てを選んだ割合は全国で25.3%。九州・沖縄では5割を超えた一方、首都圏では12.1%にとどまった。50代以上では3割超が平屋を選択しており、主な理由は「老後・家事のしやすさ」が挙げられている。
建築者のZEH認知者は81.4%。このうち、ZEHを導入した割合は47.1%で過去最高を記録した。GX志向型住宅(脱炭素住宅)の認知率は49.6%。このうち実際に導入した割合は17.8%で、若年層ほど導入意欲が高かった。
調査は令和2年国勢調査の人口構成と注文住宅建築率・検討率をもとに、全国8エリアに区分したウエイトバック集計を採用。地域別の実態に即した分析が行われている。
■関連記事
注文住宅で重視するもの――NEXERと鈴木環境建設が調査
新築一戸建て購入に必要な年収、5年間で大幅上昇 東京カンテイが分析
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。































